「グローバルでも日本市場でもクラウドの新規受注に加え、ソフトウエアライセンスの販売もプラス成長になっている。2年前、SAPはグローバルでクラウドへの転換を掲げ、予定通り順調に進んでいる」。

 SAPジャパンの福田譲社長は2017年3月2日、2017年度(2017年1~12月)の戦略を発表。2016年度(2016年1~12月)の業績を振り返り、冒頭のように述べた。2016年度のSAPジャパンの売上高は前年同期比10%増の8億2500万ユーロ(non-IFRSで固定通貨換算ベースの場合、以下同)だった。欧州SAPの連結売上高は前年同期比7%増の220億6700万ユーロ。

写真●SAPジャパンの福田譲社長
写真●SAPジャパンの福田譲社長
[画像のクリックで拡大表示]

 クラウド新規受注が前年同期比で139%増だったことに加え、ライセンス販売型の「ソフトウエアライセンス」も同14%増だったことが、売り上げ増の要因となった。ソフトウエアライセンスには、SAPのアプリケーションのライセンスを購入後にクラウドサービス上で利用する顧客も含まれている。福田社長は「ライセンスを購入した顧客がクラウドで利用するケースは9割程度」と話し、クラウドシフトが進んでいることを強調した。

IoTクラウドに注力

 2017年度の注力分野の一つとして、SAPジャパンが挙げるのが、2017年1月に提供を開始したIoT(Internet of Things)向けのクラウドサービス「SAP Leonardo」だ。SAP Leonardoでは、ヒト、資産、設備などIoTを適用したい目的別にアプリケーションを用意。目的別のアプリケーションに加え、モノからの情報をリアルタイムで収集する「SAP Leonardo Bridge」や、アプリケーションの開発やモノの接続管理などを支援する「SAP Leonardo Foundation」などで構成する。

 福田社長は「IoTはとりあえずモノをつないでみる段階から、明確な目的を持って導入するフェーズに来ている」と強調。既にSAPジャパン内に専任部隊を作り「SAP Leonardoを利用している顧客が、日本でも既にいる」(福田社長)という。