リバーベッドテクノロジーは2017年3月1日、SD-WAN(ソフトウエアで定義できるWAN)製品群「SteelConnect」を同日付で強化したと発表した。強化点は三つある。(1)WAN高速化装置と統合した新製品「SteelHead SD」を提供すること、(2)AWS(Amazon Web Services)に加えてMicrosoft AzureにSD-WANゲートウエイを配備できるようにしたこと、(3)ゲートウエイの高性能モデル「SDI-5030」を提供すること、である。

 SteelConnectは、拠点のネットワーク設定を容易に変更できるSD-WAN製品である。個々の遠隔拠点に専用のゲートウエイ機器を設置し、これらをつないだネットワークの構成をセンター側の管理コンソールから集中制御できる。SaaSへのアクセスは本社を経由せずにインターネットに直接出ていくなど、アプリケーションの種類に応じてルーティング先を切り替えられる。アプリケーション単位でQoS(帯域制御)をかけることもできる。

WAN高速化とSD-WANゲートウエイを1台に統合

 今回強化したポイントの一つは、SD-WANのゲートウエイ機器とWAN高速化装置「SteelHead」を1台のきょう体に統合した新製品「SteelHead SD」を用意したことである。SteelHeadのきょう体をベースに、SteelConnectの機能を載せ、これらを連携させている。Steelhead SDは既存のSteelheadと併売する。Steelheadの最新モデルは、ソフトウエアライセンスの追加によってSteelhead SDにアップデートできる。

WAN高速化装置とSD-WANゲートウエイを1台に統合した新製品「SteelHead SD」の概要
WAN高速化装置とSD-WANゲートウエイを1台に統合した新製品「SteelHead SD」の概要
(出所:リバーベッドテクノロジー)
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 SD-WANとWAN高速化を統合した背景には、遠隔拠点において2製品の相性がよいという状況がある。「SD-WANとWAN高速化は一緒に使うことが必然」と、リバーベッドテクノロジーで技術本部長を務める草薙伸氏は説明する。市場調査でも、SD-WANに求められる機能の一つにWAN高速化が挙げられるとしている。

リバーベッドテクノロジーで技術本部長を務める草薙伸氏
リバーベッドテクノロジーで技術本部長を務める草薙伸氏
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 ただし、WAN高速化機能を通すと元のトラフィックが見えなくなってしまうので、アプリケーション単位で経路やQoSを制御するSD-WANゲートウエイにとって都合が悪い。これを解決するため、WAN高速化装置のSteelhead側でアプリケーションIDを付与するように機能を改良した。SteelConnectのSD-WANゲートウエイは、アプリケーションIDを使ってアプリケーションの種類を認識する。

AWSに加えてAzureにもゲートウエイを配備

 今回強化したポイントの二つめは、仮想アプライアンス型のSD-WANゲートウエイを動的に配備できるIaaSクラウドを増やしたことである。これまでも使えていたAWSの仮想プライベートクラウドに加えて、新たにMicrosoft Azure環境にもSD-WANゲートウエイを配備できるようにした。

AWSに加えてAzure環境にも仮想アプライアンス型のSD-WANゲートウエイを配備できるようにした
AWSに加えてAzure環境にも仮想アプライアンス型のSD-WANゲートウエイを配備できるようにした
(出所:リバーベッドテクノロジー)
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IaaS(AWSとAzure)にSD-WANゲートウエイを配備している様子
IaaS(AWSとAzure)にSD-WANゲートウエイを配備している様子
(出所:リバーベッドテクノロジー)
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 あらかじめAWSやAzureにアクセスするための設定をSteelConnectの管理コンソールに登録しておくことで、ワンクリックでIaaS上にSD-WANゲートウエイのインスタンスを立ち上げられる。通常のSD-WANゲートウエイと同様に、SD-WANゲートウエイのネットワーク設定も動的に反映できる。

ゲートウエイに最大25Gビット/秒の広帯域モデルを追加

 今回強化したポイントの三つめは、SteelConnectのSD-WANゲートウエイの新モデルとして、10Gビット/秒を超える広帯域を対象とした最上位モデル「SDI-5030」を追加したことである。

10Gビット/秒を超える広帯域を対象とした最上位モデル「SDI-5030」の概要
10Gビット/秒を超える広帯域を対象とした最上位モデル「SDI-5030」の概要
(出所:リバーベッドテクノロジー)
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 1台で5Gビット/秒までの帯域で利用できる。最大で6台をクラスタリング構成で利用できる。6台のうち1台は可用性を高めるためのスタンバイ機であり、残りの5台をアクティブ構成で動作させられる。この場合の帯域は5Gビット/秒×5台で25Gビット/秒になる。これに対して、既存の最上位モデル「SDI-1030」の帯域は1Gビット/秒だった。