米IDCが現地時間2017年2月27日に公表したVR(仮想現実)とAR(拡張現実)市場に関するリポートによると、2017年の製品とサービスを合わせた世界支出額は139億ドル(約1兆5600億円)となり、2016年の実績から約2.3倍(130.5%増)に拡大する見通し。この市場は2015年から2020年の間、年平均198.0%の伸びで成長し、2020年には1433億ドル(16兆1200億円)規模に達すると同社は予測している。

 「VR/AR市場では、現在のところヘッドセット製品に注目が集まっているが、ソフトウエアや関連サービスも同様に規模が拡大する」とIDCのデバイスおよびAR/VR調査担当バイスプレジデントのTom Mainelli氏は述べている。

 同社によると2020年までの期間に最も支出額が多いと予測されるのが、ゲームなどの消費者市場。2017年における消費者向けハードウエア、ソフトウエア、サービスの合計支出額は62億ドルとなり、前年から130.5%増加すると同社は見ている。一方で産業向けVR/ARの製品とサービスは徐々にだが日常業務への利用が増え始めているという。

 IDCの推計によると、産業向けVR/AR市場のうち、2017年に最も支出額が多い分野は「ディスクリート型製造業」。このあとに「小売業」、「サービス業(個人/消費者向け)」、「プロセス型製造業」が続くという。

 このうち小売業の支出金額は今後5年間に年平均238.7%の伸びで拡大し、2020年にはディスクリート型製造業を抜き、産業分野でトップとなる。プロセス型製造業向けも同様に高い伸びで成長し、2020年にはサービス業向けを抜き、金額規模で3位になるとIDCは予測している。

 このほか、市場をVR、AR別に見ると、2018年までは消費者のエンターテインメントへの支出に支えられ、VRの金額がARを上回る。しかし、それ以降は、医療分野や製品設計、マネジメント関連業務への利用が増えることから、ARの金額がVRを上回るとIDCは予測している。

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