米マイクロソフトの研究部門である「マイクロソフト リサーチ」を担当するジャネット・ウィン コーポレートバイスプレジデント(写真)は2017年2月27日、東京都内で記者会見を開き、同社のAI(人工知能)分野の研究方針について語った。

 ウィン氏は「AIは既に検索エンジンBingやパーソナルアシスタントCortanaなどの形で、個人向け製品に反映されている。今後は、企業向けITシステムにAIを取り込めるよう研究を進める」と述べた。

写真●米マイクロソフトで研究部門「マイクロソフト リサーチ」を担当するジャネット・ウィン コーポレートバイスプレジデント
写真●米マイクロソフトで研究部門「マイクロソフト リサーチ」を担当するジャネット・ウィン コーポレートバイスプレジデント
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 具体的な重点分野として、「ディープラーニングなどの基礎技術のさらなる研究」「メールの内容を解読して『次の会議前にこの文書を読んでおくべき』といったアドバイスをする知的作業の補完技術」「倫理性・透明性の向上」という三つを挙げた。

 倫理性については、マイクロソフトのAIチャットボット「Tay」が攻撃的な発言を繰り返して問題になった。

 ウィン氏は「AIで大量のデータを機械学習させるとき、人が作成したデータ自体に差別や偏見が含まれる場合がある。当社に加えて、データの作成者、アルゴリズムの作成者、学習成果の利用者など関係者が多い。責任の所在が分散するところにこの問題の難しさがある」と述べた。

 そのうえで、「人から学習することと、人を攻撃しないことは必ず両立させなければらない。そのために、チャットボットを含む製品のリリース前のチェックや、リリース後の制御などに関する研究を重視している」と説明した。