リクルートテクノロジーズは2017年2月22日、高精度の屋内測位技術の実用化に向けイスラエルのベンチャー企業infuse Location社と共同で検証を始めたと発表した。誤差が平均3m程度と小さいことが特徴で、大規模な屋内イベントにおける来場者の流動把握や誘導などに応用したいとしている。

infuseが開発した屋内測位技術による実測例。画面は開発中のもの
infuseが開発した屋内測位技術による実測例。画面は開発中のもの
(画像提供:リクルートテクノロジーズ)
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 今回の測位技術はinfuseが開発した。イベント来場者のスマートフォン(スマホ)にアプリをインストールしたうえで、無線LAN、GPS、地磁気センサー、ジャイロセンサーなど、スマホに搭載する複数の通信モジュールやセンサーを組み合わせて測位する。事前に屋内イベントの主催者などが、イベント会場内であらかじめキャリブレーションをしておき、イベント会場内の座標と各種の電波強度やセンサーの実測値などを記録。そうしたキャリブレーションデータをイベント来場者のスマホアプリに配信する。

 同社は大規模イベント施設やショッピングモール、ビル内のオフィススペースなど6カ所で、これまでに10回の実証実験を実施しており、「平均誤差3m程度で屋内の位置情報が把握できることを確認した」(リクルートテクノロジーズ)としている。

 屋内測位を巡っては、Bluetoothビーコンや音波ビーコン、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心になって開発した「IMES(Indoor MEssaging System)」などいくつかの技術がある。今回の方式は、測位用に会場へハードウエアを設置する必要がない点で優位性があるとリクルートテクノロジーズは説明する。また、無線LANや地磁気センサーのみを使う屋内測位に比べ精度が高まるメリットがあるとする。

 リクルートテクノロジーズは今回の技術を応用して、大規模イベントで会場案内アプリを配布するなどの用途を検討している。アプリ上で来場者に行きたいブースを選んでもらい、その場所へ誘導したり、来場者がどのようなブースに関心があったかなどを高精度に把握できるとする。