シトリックス・システムズ・ジャパンは2017年2月22日、同社製を配信・管理するクラウドベースのサービス基盤「Citrix Cloud」を国内で発売した。デスクトップ仮想化ソフト「XenDesktop」やアプリケーション仮想化ソフト「XenApp」などを、クラウドベースのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)モデルで利用できる。

 Citrix Cloudは2層構造のサービスになっている。上層はCitrixが管理してサービスの最新機能を提供するための「管理プレーン」で、下層はユーザーが仮想デスクトップや仮想アプリケーションを展開する「展開ロケーション」だ。展開ロケーションにはユーザーのオンプレミス(自社所有)環境のほかに、米マイクロソフトの「Microsoft Azure」や、米アマゾン ウェブ サービスの「Amazon Web Services(AWS)」といったパブリッククラウドが選べる。

Citrix Cloudの基本アーキテクチャー
Citrix Cloudの基本アーキテクチャー
(出所:シトリックス・システムズ・ジャパン)
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 管理プレーンは現在、米国にあるCitrixのデータセンター上で稼働している。展開ロケーションはユーザーもしくはパートナーが管理・運用する必要がある。シトリックス・システムズ・ジャパンでシニアフィールドレディネスマネージャーを務める竹内裕治氏は、「二つの層は異なる論理的な環境に切り分けており、展開ロケーションのみにユーザーデータを蓄積する運用が可能」と話す。

 提供開始時点で利用可能なサービスはXenDesktop、XenApp、Webブラウザー専用の仮想化ソフト「XenApp Secure Browser」だ。「今後は基本的にオンプレミス(自社所有)環境向けと同じく、全ての製品をクラウドでも提供していく方針」(竹内氏)という。

 マイクロソフトとの協業により、Citrix CloudとAzureを組み合わせたサービスも提供する。Windows 10のデスクトップ仮想化サービスである「XenDesktop Essentials」と、Azureから業務アプリケーションを利用できるアプリケーション仮想化サービスの「XenApp Essentials」だ。どちらもAzureのマーケットプレイス経由で購入可能で、利用するインフラ環境はAzureの各リージョンから選択する。

Azure RemoteAppの代替サービスと位置付けるXenApp Essentialsも提供予定
Azure RemoteAppの代替サービスと位置付けるXenApp Essentialsも提供予定
(出所:シトリックス・システムズ・ジャパン)
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 XenApp Essentialsについて、竹内氏は「マイクロソフトの同様のサービスである『Azure RemoteApp』の受け皿という位置付け」と話す。RemoteAppは2017年8月末にサポートを終了する予定で、新規購入はできない状況だった。XenDesktop EssentialsやXenApp Essentialsの提供時期は「間もなく」(同)とのことだ。