パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は2017年2月20日、米マイクロソフトの中堅中小企業向けERP(統合基幹業務システム)パッケージ「Microsoft Dynamics NAV」の新版「2017」の日本、中国、香港、タイ、ベトナム向けの機能を提供すると発表した。2017年4月に販売開始する。

図●ERP「Dynamics NAV 2017」のタイ語版の画面例
図●ERP「Dynamics NAV 2017」のタイ語版の画面例
(出所:パシフィックビジネスコンサルティング)
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 Dynamics NAV 2017では、データ分析関連の機能を強化。米マイクロソフトの機械学習機能「Azure Machine Learning」と連携する機能を提供。在庫や売り上げ、キャッシュフローなどを予測する画面をDynamics NAVから利用できるようになった。加えてBI(ビジネスインテリジェンス)ソフト「PowerBI」で作成した帳票をNAVで参照可能にした。

 使い勝手の向上を目指した新機能では、Outlookの画面のままDynamics NAVを呼び出して操作可能になった。取引先から見積もりの変更作成依頼を電子メールで受け取り、Dynamics NAVの機能を呼び出してすぐに見積もりを作成して、電子メールで添付して返信する、といった使い方を想定している。

 加えて米マイクロソフトのエンドユーザー向けのアプリケーション開発ツール「PowerApps」や「Microsoft Flow」と連携できるようになり、「特に使い勝手にこだわりがある日本のエンドユーザーが、自らアプリケーションが開発できる機能が整った」とPBCの吉島良平 戦略事業推進室長は話す。

 Microsoft Dynamics NAVは米マイクロソフトが開発しているが、日本、中国、香港、タイ、ベトナム版については、PBCが各言語や商習慣への対応機能を提供している。

 「当社のビジネスで言えば、Dynamics NAVは海外が7割、日本が3割というのが現状。これまで日本企業の海外法人での導入が多かったが、最近は海外で利用していた企業が日本の子会社にもDynamics NAVを導入する、という動きも出てきている」とPBCの小林敏樹 社長は説明する。

 PBCはDynamics NAVをオンプレミスで提供するほか、AzureをIaaSとして利用してクラウドサービスとして導入することを想定している。「製造業ではまだまだオンプレミスの需要がある」(小林社長)という。

 PBCが提供するDynamics NAVの価格は、日本語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、タイ語、ベトナム語のそれぞれの言語にするためのモジュールが各50万円。商習慣などを反映した各国版のモジュールは、日本、中国対応が50万円から、香港が20万円、ベトナムが50万円、タイが100万円。それぞれ別途、Dynamics NAVのライセンス費用が必要になる。

 そのほか機械学習などDynamics NAV以外のマイクロソフトのサービスを利用する場合も別途、料金が必要になる。PBCはDynamics NAVの導入に加えて、Azure Bot Serviceを利用したLINE連携機能や、Azure Machine Learningを利用した企業ごとの予測モデルの開発などのサービスを提供していく計画だ。