ドイツ当局は現地時間2017年2月17日に盗聴の危険性がある対話型人形「My Friend Cayla」の使用を禁止したと、複数の米メディア(New York TimesNBC Newsなど)が報じた。

 Caylaは米Genesis Toysが製造を手がけ、ドイツでは英Vivid Toyが販売している。インターネット接続に対応し、音声認識技術を利用して子供と会話する。

 ドイツ連邦ネットワーク庁は、「カメラやマイクが内蔵され、情報を送信できる物品は、プライバシーを侵害する恐れがある」とし、Caylaがドイツの通信関連法に抵触する可能性を指摘。悪質なハッカーが同人形を使って、子供との会話を盗み出す危険性があるとして、玩具販売店などにCaylaを撤去するよう要請した。また、すでにCaylaを購入している家庭の親に対しては、Caylaの電源を切るよう求めている。

 米ValueWalkによると、CaylaのBluetooth機能には適切なセキュリティ対策が施されていないため、半径33フィート(約10メートル)以内で簡単に他のBluetoothデバイスからCaylaのマイクにアクセスし、Caylaと子供の会話を聞き取ることができるという。

 Caylaを巡っては、米電子プライバシ情報センター(EPIC)が昨年12月、「十分な説明もなく、親の承諾を得ないまま、不正に子供との会話を記録し、情報を収集している」として米連邦取引委員会(FTC)に苦情を申請し、Genesis Toysと同社に音声認識技術を提供している米Nuance Communicationsに対する調査を要求した。EPICは今回のドイツ当局の決定を受け、「FTCは対応を怠っている」と批判する声明を同日発表している。

 EPICのほか、複数の欧州消費者団体もCaylaについて苦情を申し立てているが、英国の玩具小売店協会は「特別な危険性はなく、心配する理由はない」との見解を示しているという(英BBCの情報)。