データ分析ソフト大手のSAS Institute Japanは2017年2月16日、2017年(1~12月期)の事業戦略に関する説明会を開催した。会場では、同社が重点戦略として掲げる「分析のリアルタイム化と自動化」「IoT(インターネット・オブ・シングズ)分析の強化」を具現化するデモを披露した。

写真1●SAS Institute Japanがデモ用に用意した黒いレーザーセンサー(右)。銀色の円筒スピーカーが盗まれないように見張るという設定
写真1●SAS Institute Japanがデモ用に用意した黒いレーザーセンサー(右)。銀色の円筒スピーカーが盗まれないように見張るという設定
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 会場内の4カ所に北陽電機(大阪市)製のレーザーセンサーを設置(写真1)。デモは、銀色の円筒スピーカーが盗まれないようにセンサーが見張るという設定で行われた。センサーから取得したデータをネットワークで集約し、リアルタイム分析ツール「SAS Event Stream Processing」で処理する。会場内の人体の動きを検知し、顔画像などの個人情報を特定することなく人の動きを捉えるようにした。

写真2●レーザーセンサーで取得したデータを分析した画面。人の位置や「盗難リスク」の警告を表示
写真2●レーザーセンサーで取得したデータを分析した画面。人の位置や「盗難リスク」の警告を表示
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 ダッシュボード画面には、会場内の人の動きをリアルタイムに近い形で表示。スピーカーが置かれた場所に人が近づくと、「盗難のリスクが高まっている」という警告が出る(写真2)。こうした仕組みは、店舗や公共施設などの運営者が、来店・通行者の動線を分析してマーケティングなどに生かす用途に使える。

写真3●SAS Institute Japanの堀田徹哉代表取締役社長
写真3●SAS Institute Japanの堀田徹哉代表取締役社長
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 堀田徹哉代表取締役社長(写真3)は、「2016年は日本の金融業における顧客分析や、製造業のビッグデータやIoT分野などでの案件が好調で、日本法人の成長がグローバル業績にも大きく貢献した」と述べた。具体的な案件として、ブリヂストンのタイヤ工場における生産革新のために分析ツール「SAS Analytics for IoT」を提供した事例などを挙げた。

 そのうえで堀田社長は、「2017年もこの流れに乗って成長を続けたい。蓄積したビッグデータを事後に分析するだけではなく、センサーやIoT機器から取得したデータをリアルタイムで分析したいというニーズが強まっている。これに応えるための製品強化を進める」と話した。