ドキュサイン・ジャパンとシヤチハタは2017年2月16日、3月上旬に提供開始を予定している「電子印鑑」を解説する記者向けセミナーを開催した。

 ドキュサイン・ジャパンは、申し込み、契約、登録、決済、請求など、電子化された書類で業務ができるクラウドサービス「DocuSign」を提供する。改ざんの有無を確認できる電子署名を書類に付与したり、書類を暗号化して送ったりできる。DocuSignのアカウントを持たない人にも書類を送り、電子署名を付けて折り返してもらうといった使い方もできる。

 DocuSignで2017年3月上旬から使えるようになるのが、米ドキュサインとシヤチハタが共同で開発した「電子印鑑」オプションだ。実際の印鑑を押したような印影を電子書類上に付与できる。ドキュサイン・ジャパンの小枝逸人代表取締役社長は「Docusignは国や企業の文化を取り込んで、紙を使ったあらゆる業務の電子化を目指していく」と、新オプションを導入する理由を話した。

ドキュサイン・ジャパンの小枝逸人代表取締役社長
ドキュサイン・ジャパンの小枝逸人代表取締役社長
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 このサービスの強みは、視覚的に分かりやすいこと。「電子印鑑は手書きより簡単かつ素早く入力でき、署名したと視覚的に分かりやすい」(小枝社長)。日常的に業務に使う電子書類には電子印鑑が適していて、印鑑文化がクラウドサービスを便利にするという。

 シヤチハタの舟橋正剛代表取締役社長は「業務の電子化が進むと、シヤチハタの需要はゆっくりとだが少なくなっていく。減少する事業規模に少しでも歯止めをかけようと、電子印鑑に取り組んできた」と話す。

シヤチハタの舟橋正剛代表取締役社長
シヤチハタの舟橋正剛代表取締役社長
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 スタンプ型印鑑の需要は日本の捺印文化によって支えられてきた。銀行の口座開設や省庁の各種手続きが電子化されるなど、印鑑の需要が減少する中「シヤチハタの需要減少は少なかった」(舟橋社長)という。スタンプ型印鑑の需要がまだあるうちに「ペーパーレス化したオフィスの中で認証のところに加わりたい」(同)と、ドキュサインとの提携を決めた。

 DocuSignの電子印鑑オプションは基本的に無料。オーダーメイドの印影を作るサービスや、印影が使える利用者を限定する管理機能などを有償のオプションとして提供する計画だ。