ミサワホームは2017年2月16日、人事関連業務に人工知能(AI)を活用することで業務を自動化し、運用コストを年間で約50%削減すると発表した。従来の業務ノウハウやビッグデータをAIに学習させることで、これまで人手で処理していた単純な事務作業や問い合わせ対応をAIに代行させる。グループ全体の人材情報を集約することで、将来的には業務内容に合った人材登用にもAIを活用したい考えだ。

 同社は従来からパブリッククラウド上へERP(統合基幹業務システム)を構築することで、業務プロセスの効率化を進めてきた。既に人事管理や就労管理などの申請ワークフローを社外から処理できる。今回同社は、AI型ERP製品であるワークスアプリケーションズの「HUE(ヒュー)」を導入することで、入力作業や書類作成などの業務を自動化し、自動化や運用コスト削減を図る。

HUEの伝票承認画面の例
HUEの伝票承認画面の例
(出所:ワークスアプリケーションズ)
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 ミサワホームグループでは、1カ月当たりの人事関連の申請が約8万件、資材発注などの申請が13万件生じている。そのワークフローはほぼ全ての場合、最終的に承認される。事前に社内で何度も協議を重ねている場合がほとんどだからだ。こうした承認業務にHUEを活用すれば、およそ半数の工数が自動化できる見込みだ。

 ミサワホームの宮本眞一 情報システム部長 兼 構造改革プロジェクトは、「これまで業務の効率化を進めてきたが、仕事の内容自体は変わっていなかった。AIを導入すれば、仕事内容そのものを変えることができる」と語る。申請処理などの業務では、ある程度の仕事をこなすうちにAIが学習していき、業務を任せられるようになると見る。

ミサワホームの宮本眞一 情報システム部長 兼 構造改革プロジェクト
ミサワホームの宮本眞一 情報システム部長 兼 構造改革プロジェクト
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 さらに同社は、将来的に人材登用のレコメンド(推薦)にもAIを利用したい考えだ。例えば、これまで人が考えていた人事評価や配置をAIで学習し、数値情報などで“見える化”するといった活用を想定する。宮本氏は「人材登用の材料は、AIなどのシステムが提案してくれるようになるだろう。そうした情報から人事評価の新しい気づきが生まれるかも知れない」と見る。少子高齢化やマンションなどの集合住宅の普及など住宅事情が大きく変化するなか、新しい業務に適材適所な人材を配置するためにもAIが役立つと期待する。

 同社は2012年頃から、グループ会社のサービスの間接業務を本社へ集約する「シェアードサービス」を進めてきた。グループ35社の人事統合基盤をAWS(Amazon Web Service)上で構築し、人事業務の標準化や棚卸しを進めてきた。ミサワホームはHR(ヒューマンリソース、人的資本)システムに、ワークスアプリケーションズの「COMPANY」を採用していた。今回導入したHUEはCOMPANYの後継製品である。