全日本空輸(ANA)と新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は2017年2月15日、ソフトバンクロボティクスのヒト型ロボット「Pepper」と米マイクロソフトのゴーグル型端末「HoloLens」を組み合わせ、空港での案内業務に使う実証実験を始めた。2つの製品を組み合わせることで、Pepperが自律走行できるのが特徴。実験は2月末まで宮崎空港の旅客ターミナル内で実施する。

実証実験に使用するPepper。装着したHoloLensに空間認識機能を担わせることで、自律走行を実現している
実証実験に使用するPepper。装着したHoloLensに空間認識機能を担わせることで、自律走行を実現している
(写真提供:全日本空輸)
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 HoloLensは、ヒトが装着して使うときと同様にPepperの目の付近に装着する。HoloLensが内蔵しているカメラによりPepperの前方の風景を認識し、HoloLensにあらかじめ搭載している宮崎空港内の風景と照合し現在の位置と向きを判定する。それを基にHoloLensからPepperへ、目的地へ向かうためにどの方向へ進むべきかという指示を出す。HoloLensが備えている、ゴーグル内に映像を表示する機能は使用していない。

 HoloLensは、製品単体でWindowsが動作するパソコンとしての機能を備えているほか、カメラによる前方空間の認識機能もある。一方、Pepperは走行機能を備えているものの、単体で自律的に現在位置を判定し目的地へ自動走行する機能は標準装備していない。無線LAN経由でパソコンに接続し、パソコン側で現在地の判定や移動の指示を出せば自律走行は可能だが、パソコンの設置場所や通信環境が課題となる。

 今回の実証実験では、双方の機能を組み合わせて機能を補完するという、いわば「二人羽織」で自律走行を実現した格好だ。併せてHoloLensをPepperに装着することで、一般的な無線LANアクセスポイントのエリアを超えて移動可能にし、別途パソコンを設置するスペースの確保も不要にしている。

 ANAとNSSOLは実証実験中、時間帯によってPepperを空港内の異なる場所に移動させ、複数の案内業務に従事させるといった使い方を試し、実用性や課題などを検証する。