日本マイクロソフトは2017年2月14日、「マイクロソフト セキュリティ フォーラム」で、ラックと共同でセキュリティ対策を推進する組織を3月に発足させることを明らかにした。併せてクラウドサービス「Microsoft Azure」を活用したさまざまなセキュリティ対策も発表。協業によってセキュリティ対策を加速していく考えを示した。

 「セキュリティ対策はIT部門だけの課題ではなく経営課題だ」。日本マイクロソフトの平野拓也 社長はこのように語り、企業や社会全体がセキュリティ対策に取り組む重要性を強調した。同社によれば世界で年間4億人がサイバー犯罪の被害に遭い、1000億円の被害が発生している。

日本マイクロソフトの平野拓也 社長
日本マイクロソフトの平野拓也 社長
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 平野氏は、サイバー攻撃の手口が徐々に巧妙化しており、「かつての愉快犯としてのサイバー攻撃は、金銭を目的としたビジネスとして姿を変えつつある」と分析する。例えば、PC内のデータを暗号化して身代金を請求するランサムウエアや、情報システムの脆弱性の情報を売買する仕組みなどが拡大している。

 米国では、特許権を行使して企業に多額のライセンス料を請求するパテント・トロールが増加しており、過去5年間で22%も知財訴訟が増加するなど、深刻な課題となっているという。

 そこでマイクロソフトは、クラウドによるセキュリティ施策として「Azure IP Advantageプログラム」を日本で開始すると発表した。同プログラムは、Microsoft Azure上の知的財産を保護するために、マイクロソフトが保有する1万件の特許を使って利用者を保護するものだ。

 同社は、IoT(インターネット・オブ・シングズ)に関するセキュリティにも言及した。現在世界では64億台のIoTデバイスが使用され、2020年にはデバイス数は208億台に達すると言われている。デバイスの普及に合わせて、今後IoTセキュリティがますます重要になる。

 マイクロソフトは、クラウドやIoTの拡大を想定してIDベースのセキュリティを推進する組織づくりにも取り組むとした。同社はセキュリティ技術に強みを持つラックと、「ID-based Securityイニシアティブ」を2017年3月に設立する。具体的な取り組みとしては、IoTデバイスのセキュリティ検証や技術者の育成、マルウエア対策などを挙げる。セキュリティベンダーやSaaSベンダー、IoTベンダー、ネットワークベンダーなど、多くの企業が参画する予定。