英Primo Toysは2017年2月15日、プログラミング知育玩具「キュベット」の国内店頭販売を始める。これまでオンラインのみで販売されており、店頭販売は世界初となる。当初から子供向けにデザインされたプログラミング教材であり、アルゴリズム、デバッグ、さらには関数や再帰呼び出しといった考え方が遊びの中で自然に身に付く点が特徴だ。

 「プログラミングを幼児、子供のために教える試みがなされているが、大人のためにデザイン・設計されたプロダクトやインタフェースを単に子供にフィットさせようとしているだけ」。幼児・児童向けのプログラミング知育玩具「キュベット(Cubbet)」を開発する英Primo Toysの創業者兼CEO(最高経営責任者)であるフィリップ・ヤコブ氏は2017年2月12日、都内で開いた説明会でこれまでの子供向けプログラミング玩具を一刀両断した(写真1)。

写真1●キュベットを開発する英Primo ToysのCEOであるフィリップ・ヤコブ氏(左)。右は説明会でヤコブ氏とのトークセッションに登壇したNPO法人CANVAS理事長の石戸奈々子氏
写真1●キュベットを開発する英Primo ToysのCEOであるフィリップ・ヤコブ氏(左)。右は説明会でヤコブ氏とのトークセッションに登壇したNPO法人CANVAS理事長の石戸奈々子氏
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 Primo Toysが開発したキュベットは、「子供の伝統的な遊びの中でプログラミングを教えられる」(ヤコブ氏)知育玩具であり、「実際に触って体験しながらプログラミングを学べる」もので、当初から子供のためにデザインされたものだと述べる。

 キュベットは、(1)升形のロボット、(2)ロボットの動きを示すプログラミング用ブロック、(3)ブロックを置いてロボットの動作を決めるコントロールパネル、(4)ロボットの動作を分かりやすく見せる升目やイラストの書かれたマット、(5)ロボットの動作を解説するストーリーブック――で構成する(写真2)。対象年齢は3歳から小学校低学年程度。パソコンやスマートフォン/タブレットは不要だ。

写真2●木製のロボットやコントロールパネル、ブロックで構成するプログラミング知育玩具の「キュベット」
写真2●木製のロボットやコントロールパネル、ブロックで構成するプログラミング知育玩具の「キュベット」
出所:英Primo Toysの報道資料
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 開発当初は米国のクラウドファンディングで資金を調達し、世界約90カ国から160万ドルあまりを集めて2015年11月に発売。4万セットを9カ月間で売り切ったという。米国や欧州の教育機関で教材として採用された実績もある。国内では2016年11月からオンラインで販売しており、2017年2月15日から伊勢丹新宿本店で店頭販売に踏み切る。

プログラミングの基本概念を幼児期に身に付ける

 キュベットの特徴は、ブロックでロボットの動作を決めていく過程を通して、アルゴリズム、デバッグ、さらには関数や再帰呼び出しといった考え方が遊びの中で自然に身に付くとしている点。動作を表すブロックは前進、左折、右折の“動作ブロック”のほか、「ファンクション(関数)ブロック」と呼ぶ青いブロックを用意している。各ブロックは、コントロールパネルの上3分の2程度のエリアの12個のスロットにはめてロボットの動作を決定するが、この中でファンクションブロックは、コントロールパネル下部に設けられた「ファンクションライン」に置かれた最大4個のブロックの動きを呼び出す(写真3)。

写真3●マットに置かれたロボットとコントロールパネル。コントロールパネル下部のブロック4個を置く部分が「ファンクションライン」
写真3●マットに置かれたロボットとコントロールパネル。コントロールパネル下部のブロック4個を置く部分が「ファンクションライン」
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 ファンクションラインに置かれたファンクションブロックからも、ファンクションライン上の“動作ブロック”の動きを呼び出すことが可能で、例えばロボットがひたすら周回し続けるといった動作も実現できる。キュベットは、このようにブロックを組み合わせ、思考錯誤しながらロボットを動かすことで、自然にプログラミングに必要な概念を身に付けられるという。

 ロボット、ブロック、コントロールパネル、マップ、ストーリーブックで構成する基本セットは税別で2万9600円。オプションで他の物語が書かれたストーリーブックやマップも用意する。ロボットとコントロールパネルはBluetooth 4.0で通信する。電源は単三型乾電池6本(ロボット、コントロールパネル各3本)で連続稼働時間は4~6時間。各国の玩具としての認証を取得している。