SAPジャパンは2017年2月10日、保険会社向けのパッケージソフト「SAP for Insurance」を国内で提供開始すると発表した。契約、保険金支払い、請求、会計などの保険業務に対応した一連の機能を搭載する。SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)版とオンプレミス版を用意。海外での導入実績を強みに、システム運用費の削減やデータ活用の高度化といった保険会社の需要に応えて拡販する狙いだ。

 SAP for Insuranceは、次の三つの業務に対応したアプリケーションで構成する。契約管理や保険料の収納、請求業務を担う「基幹業務」と、会計や経営管理、リスク管理の機能を提供する「リスクと会計」、営業やマーケティング業務で使う「カスタマー」――である。それぞれ個別に導入することも可能。価格は非公開。

 同社によれば、国内の大手損害保険会社は基幹業務システムを、メインフレーム上でアプリケーションをスクラッチ開発しているという。鈴木正敏バイスプレジデント金融統括本部長 兼 プラットフォーム事業本部長は「高い保守運用費用が発生している」と指摘。パッケージソフトの採用で、コスト削減を支援できるとした。

SAPジャパンの鈴木正敏バイスプレジデント金融統括本部長 兼 プラットフォーム事業本部長
SAPジャパンの鈴木正敏バイスプレジデント金融統括本部長 兼 プラットフォーム事業本部長
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 海外ではSAP for Insuranceは、基幹業務システムとして500社以上の採用実績があるという。「日本で導入実績は無いが、既に複数社と商談を始めている」(SAPジャパン ソリューション統括本部 デジタル・インダストリー・ソリューション第1部 金融サービス部門の織田新一部長)とした。海外ユーザーでは、1~2年のプロジェクト期間で導入できた例もあるといい、海外実績をアピールして国内での普及させたい考えだ。

 SAP for Insuranceは、欧州SAPのインメモリーデータベース「HANA」上で稼働させることも可能。個別のアプリは、同一のデータベースを参照できる。新規契約、保険料の収納、請求といった保険業務で得られたデータを活用して、より戦略的なマーケティング活動に生かせるとした。