ワークスアプリケーションズは2017年2月10日、徳島県徳島市に自然言語処理(NLP)の研究に特化した人工知能研究所「ワークス徳島人工知能NLP研究所(WAP Tokushima Laboratory of AI and NLP)」を2017年2月1日付で開設し、業務を開始したと発表した。研究の成果として、自然言語処理を活用したソフトウエアを開発し、ソースコードを公開するとしている。

研究テーマ「秘書エージェントシステム」の概要
研究テーマ「秘書エージェントシステム」の概要
(出所:ワークスアプリケーションズ)
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研究テーマ「オフィスエージェントシステム」の概要
研究テーマ「オフィスエージェントシステム」の概要
(出所:ワークスアプリケーションズ)
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 主に二つのシステムについて研究開発を進める。「秘書エージェントシステム」はスケジュール調整や音声認識型チャットボット、情報収集などによって、社員の日常業務を支援する。「オフィスエージェントシステム」は会議中の発言の自動翻訳、議事録の自動作成・分類などによって、オフィスの業務を効率化する。

 研究所は徳島県からの立地支援を受けて開設。自然言語処理研究に知見のある人材を多く輩出する徳島大学と共同研究する場とする。今後5年間で研究員を50人規模に拡大し、ワークスアプリケーションズにおけるAI研究の中心と位置付ける見込みである。

 自然言語処理とは、日本語や英語といった人間が話す言語をコンピュータに処理させるための技術やソフトウエアの総称であり、人工知能と言語学にまたがる。キーボード入力時のかな漢字変換、あいまい検索機能、音声認識機能など、様々なシーンで使われている。

 研究所開設の背景は、同社のERP(統合基幹業務システム)ソフト「HUE」が搭載する人工知能を強化する狙いがある。現在のHUEはユーザーの操作ログを機械学習で学び、ユーザーの次の行動を予測して操作を支援する。自然言語処理の研究を進めることによって、ユーザーの発話やテキストデータの解析に基づいた、より役立つ支援機能を実現する狙いだ。

 研究所では現在、研究員を募集中。業務内容として以下を挙げる。

  • 形態素解析、固有表現抽出技術、依存構造解析の研究開発および継続的な改良
  • 重要語抽出・同義語抽出技術の研究開発
  • 全文検索の精度向上
  • 対話エージェントの研究開発
  • 各種言語リソースの開発
  • オープンソースでのNLPツール、言語リソースの公開