観光事業者向けのマーケティングを手がけるくまもとDMC(熊本県熊本市)は2017年2月7日、観光事業者向けのデータベースを構築すると発表した。2014年設立のベンチャーであるデータビークルが開発した分析ツールやデータ変換ソフトを活用する。熊本県を中心に、観光事業を拡大したい自治体に向けて、調査やコンサルティングなどを提供する考えだ。

 くまもとDMCは観光振興を目的にデータ分析に基づいた戦略策定やKPI(重要業績指標)の設定を担う。同社は2016年12月設立で、元熊本県副知事の村田信一氏が代表取締役社長を務める。同日開かれた記者会見で村田社長は「震災によって被害を受けた熊本県の観光事業を支援したい」と狙いを語った。

くまもとDMCの村田社長。会見には特別ゲストとしてくまモンも登場
くまもとDMCの村田社長。会見には特別ゲストとしてくまモンも登場
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 くまもとDMCが目標として掲げるのは、2016年4月に発生した熊本地震以前と同水準に、熊本県の観光事業を盛り上げること。同社は、震災前は観光客数が年間約6000万人だったが、震災発生後は年間約4800万人に減少すると想定している。

 観光事業を運営する自治体の要望に応じて、KPIを設定しデータベースを構築する考え。例えば、特定の果物の売り上げを伸ばしたい観光事業者には果物の売れ行きに関する情報を主軸にデータを収集して構築する。旅行者の位置情報や移動経路などを、個人を特定できない形で蓄積し、地域別の消費状況を分析する手法なども想定しているという。

 データベースの構築には、データビークルが開発したデータ統合ソフト「Data Ferry」を使う。「異なる形式のデータを変換して、分析しやすい形に統合する」(同社の油野達也代表取締役)。米マイクロソフトのパブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」上に構築する。分析には同社製の分析ツール「Data Diver」を使う。

 くまもとDMCは発表時点で、次の4社が提供するデータを利用する考えを明らかにしている。データベース提供のeBaseが保有する食品データ、ナビタイムジャパンが提供する目的地検索データとインバウンドGPSデータ、ソフトバンクグループのAgoopが提供するスマートフォンGPSデータ、小売業向けソリューションを提供するカスタマー・コミュニケーションズが収集するPOSデータである。

会見にはくまもとDMCとデータビークル、データを提供する4社のメンバーが参加した
会見にはくまもとDMCとデータビークル、データを提供する4社のメンバーが参加した
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