住信SBIネット銀行は2018年2月6日、ウェルスナビが提供するおつり資産運用アプリ「マメタス」からワンタップで投資用口座に入金、資産運用ができるようにしたと発表した。新たに開発した「リアルタイム口座振替API」という更新系API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を活用する。今まではおつりで貯まった資金を一定間隔で投資に回していたが、利用者は自由なタイミングで資金移動できるようになった。

 マメタスは毎日の買い物などで生じる端数の金額を仮想的な「おつり」として蓄積し、ロボ・アドバイザーによる投資運用資金に回せるアプリだ。一回の買い物に使う基準の金額を1000円などと決めておき、支払った額との差額をおつりとみなす。今回の新機能は、住信SBIネット銀行の顧客向けにカスタマイズしたウェルスナビのロボ・アドバイザーアプリ「WealthNavi for 住信SBIネット銀行」が対象だ。

 WealthNavi for 住信SBIネット銀行の利用者は、端数が生じる度にアプリ上のボタンをタップし、好きなタイミングで銀行口座から投資用口座に資金を移動できるようになる。買い物の端数をお釣りに見立てて投資資金に当てるサービスは国内外で活況を呈しているが、一定期間、おつりを積み立ててから投資に回すのが一般的だ。

 今回、住信SBIネット銀行はリアルタイム口座振替を実現する更新系APIを開発し、ウェルスナビに提供した。同APIを活用し、顧客の銀行口座からウェルスナビが住信SBIネット銀行で開設した法人口座へと資金を移動する。リアルタイム口座振替の仕組みはこれまでも存在したが、資金移動にかかわるネットワーク利用料などのコストがネックとなって少額の資金移動は敬遠されがちだった。

 2017年に成立した改正資金決済法によって銀行によるAPI公開が努力義務化されるが、多くは残高照会など資金移動を伴わない機能の提供にとどまる公算が大きい。資金移動が発生する更新系APIの公開は、セキュリティ上のリスクが高いと考えられているからだ。

 今回の取り組みでは、万が一APIが悪用されても、資金は住信SBIネット銀行内にとどまる。そのため同行は、事実上のリスクはないと判断したもようだ。