クラウドソーシング大手のランサーズは2018年2月6日、文章を入力するとマルチ商法の勧誘文かどうかを判定するWebサービス「マルチ商法チェッカー」を無償で公開した。ランサーズのチャット画面などでやりとりされた文章を機械学習に入力して学習モデルを構築。新しく入力する文章がスパムメッセージかどうかを判定する。判定の正解率は99%以上という。

「マルチ商法チェッカー」の画面
「マルチ商法チェッカー」の画面
出所:ランサーズ
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 同社はフリーランスへの仕事の発注を装ったスパムメッセージの送信を減らす目的でこの仕組みを開発した。ランサーズ上のスパムメッセージは2017年に急増。ピーク時には1日あたり3000通に達し、仕事を探すフリーランスの閲覧画面に表示されていた。

 2017年12月に社内システムとして検知システムを稼働した。文章が投稿されるとスパムメッセージかどうか判定し、スパムであれば非表示にして同社の監視担当者に通知する仕組みを構築した。同社開発部の高田茂臣氏は「従来、1日がかりだった監視業務を数十分に省力化できた」と成果を話す。

ランサーズ上のスパムメッセージを検知して非表示にした画面例
ランサーズ上のスパムメッセージを検知して非表示にした画面例
出所:ランサーズ
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 マルチ商法チェッカーはこの仕組みをWeb上で一般に公開したもの。利用者は判定結果に納得するかどうかを評価するボタンを押してフィードバックする。無償公開に踏み切った理由について、高田氏は「未知のスパムメッセージが投稿されると検知しにくい。外部の様々なスパムメッセージを蓄積して汎用性を高めたかった」と語る。将来はAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)による提供を検討する。