パナソニックが2018年2月5日に発表した2017年度第3四半期(2017年10~12月)決算は増収増益だった。併せて通期(2017年4月~2018年3月)見通しを上方修正した。売上高が期初の予想比1500億円増の7兆9500億円、営業利益が同150億円増の3500億円になる見通し。米電気自動車(EV)メーカー、テスラの新型車「モデル3」で生産遅延が発生した影響でテスラ向けの車載用2次電池の売り上げが期初予想に比べて約900億円減る。モーターや部品実装機など複数の事業で予想を上回る好調が続くため全社では上方修正となった。

 2017年度第3四半期の決算を説明する梅田博和CFO
2017年度第3四半期の決算を説明する梅田博和CFO
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 第3四半期の売上高は前年同期比9%増の2兆543億円、営業利益は23%増の1201億円、最終利益は27%増の812億円だった。車載インフォテインメント機器や高度運転支援用センサーなどの売り上げが伸びたオートモーティブ事業、国内外の電設資材が好調だったエナジーシステム事業、国内向けノートPCや小型決済端末の販売が増えたモバイルソリューション事業などが売上高の増加に寄与した。モーターやFA用センサーなどが好調だったインダストリアル事業と、部品実装機の販売が増えたプロセスオートメーション事業が営業利益拡大に貢献した。

 日本マイクロソフト会長から転じた樋口泰行専務が社長を務める社内カンパニー、コネクティッドソリューションズ社は、第3四半期の売上高が前年同期比9%増の2811億円、営業利益が189億円増の387億円だった。プロセスオートメーション事業では特にICT分野の製造受託企業が設備投資に積極的で部品実装機が好調に推移した。モバイルソリューションズ事業はノートPCや決済端末のほか、頑丈なハンドヘルド端末が海外で販売好調だった。

 2017年度通期見通しを前年実績と比較すると、売上高は8%増、営業利益は同26%増になる。テスラの生産遅延の影響を受けた2次電池事業は、売上高が期初予想比450億円減の4265億円、営業損益が同120億円減のマイナス54億円を見込む。他の自動車メーカーに向けた角形2次電池や工具など動力系の小型2次電池が伸びたため「2次電池事業の下方修正はテスラの影響の半分程度の金額に収まった」(パナソニックの梅田博和CFO)。モデル3の生産が軌道に乗ればパナソニックの稼ぐ力はさらに強くなる。