日商エレクトロニクスは2018年2月5日、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と人工知能(AI)を活用した光学的文字認識(AI-OCR)を使う新たなサービスの提供を開始すると発表した。日商エレクトロニクスがRPAのベンダーであるRPAテクノロジーズ、AI-OCRを提供するABBYYジャパンと販売代理店契約を締結。各社の製品の取り扱いを開始し、RPAとAI-OCRを組み合わせたサービスを企業などに導入していく。初年度約20社の導入を見込む。

 日商エレクトロニクスが扱うのは、RPAテクノロジーズの「BizRobo!」シリーズの「Basic Robo!」とBlue Prism製品およびABBYYジャパンの文書処理ソフト「ABBYY FlexiCapture」。都内で開催された発表会で日商エレクトロニクスの岡村昌一社長は、「これまで日商エレクトロニクスは、おもにインフラ周りのソリューションを提供してきた。双日システムズとの合併でシステム運用力やシステム開発力をベースとしたサービスを提供できる体制が整った」と説明。続けて、RPAテクノロジーズとABBYYジャパンとの協業により「(運用や開発など)これまでの日商エレクトロニクスとはひと味違う幅広いサービスの提供が可能となった」と述べた。

日商エレクトロニクスの岡村昌一社長
日商エレクトロニクスの岡村昌一社長
(写真:下玉利 尚明、以下同じ)
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 2社との協業に先立ち、日商エレクトロニクスは2017年11月からRPAテクノロジーズのBasic Robo!とABBYYジャパンのABBYY FlexiCaptureを実環境で活用し、業務の自動化に取り組んだ。「95種類、406枚の帳票の処理を自動化し、年間360時間かかっていた請求書類の確認作業などを38時間にまで短縮した。業務時間を90%削減できた」(日商エレクトロニクス ビジネスソリューション事業本部 企画開発室長の青木俊氏)。社内で実践し蓄積した導入や運用のノウハウをベースに、国内市場にRPAとAI-OCRを使ったサービスの導入を進めるとした。

 具体的にはコンサルティングサービスをはじめ、RPAとAI-OCRを活用するシステムのインテグレーションサービス、ソフトウエアロボットの開発スキルを持つスタッフの派遣およびRPA教育サービスを提供する。2018年4月以降は導入したソフトウエアロボットのメンテナンスサービスを提供する。

日商エレクトロニクス ビジネスソリューション事業本部 企画開発室長の青木俊氏
日商エレクトロニクス ビジネスソリューション事業本部 企画開発室長の青木俊氏
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 発表会には日商エレクトロニクスと協業するRPAテクノロジーズの大角暢之社長も登壇。国内市場にRPAを浸透させるに当たって「RPAの導入方法、RPAツールの選定の難しさ、RPAエンジニアの枯渇という3つの課題がある」と指摘。「日商エレクトロニクスとの協業により、同社の社内実践を基にした導入アプローチが可能になるほか、RPAエンジニアの枯渇の問題も解消できる」と協業に踏み切った経緯を説明した。

RPAテクノロジーズの大角暢之社長
RPAテクノロジーズの大角暢之社長
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 ABBYYジャパンの日本統括である小原洋氏は、同社のAI-OCRシステムについて、「AIを活用することでドキュメントの認識・分類ができ業務に必要な重要データを抽出できる。そのデータをRPAや業務プロセスに渡せる」と説明。書類を起点としたさまざまな業務をRPAに結び付けられるメリットを強調した。

ABBYYジャパン 日本統括の小原洋氏
ABBYYジャパン 日本統括の小原洋氏
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