早稲田大学ジャーナリズム研究所が運営するネットメディア「ワセダクロニクル」は2017年2月1日、一般社団法人共同通信社(以下、社団共同)の100%子会社である株式会社共同通信社(以下、KK共同)が、社団共同による記事配信の見返りに、電通パブリックリレーションズ(以下、電通PR)から55万円の報酬を受け取ったとの内容の記事を公開した。社団共同およびKK共同は「当社の業務について重大な事実誤認があり、抗議文を出した」とコメントしている。

 ワセダクロニクルの記事によると、KK共同は2013年、社団共同の編集委員に報道資料を紹介。編集委員は同資料に基づく医療記事を配信し、地方紙など8紙に掲載された。KK共同は記事掲載の見返りとして、電通PRから55万円の報酬を受け取っていたとする。

 KK共同は、報道機関である社団共同の100%出資子会社で、企業、団体、自治体や官公庁などの広報・PR支援、セミナー・各種事業やイベントの運営、出版などの事業を展開している。

 KK共同は、事実関係についての本誌の問い合わせに対し、以下の様に回答した。(取材は文章ベースで行われた。以下、語尾の表現などを編集した回答を掲載する)

記事配信に関連して、電通PRからKK共同に55万円が支払われていた点は、事実か。

 KK共同は、電通PRからPR活動の対価として報酬を受け取った。

この55万円は、どのような目的で支払われたものか。

 KK共同が、社団共同に当該記事の広報資料を紹介したPR活動費だ。記事掲載への報酬ではない。

重ねて確認したい。支払われるPR活動費は、掲載の有無に関係なく「紹介」により支払われる固定的な報酬か、あるいは結果として掲載された場合の追加報酬が含まれるものか。

 後者のような形態となる。

KK共同のPR事業と社団共同との関係は。

 KK共同は幅広い業務の中で、一般のPR会社と同様、プレスリリースなどの情報を報道機関に紹介(プロモート)する事業も行っている。

 広告代理店や今回の電通PRのように、他のPR会社から持ち込まれた案件については、まずKK共同がメディアに紹介するに値する情報かどうかを判断、選別した上でメディア(指摘される今回の件では社団共同)に紹介している。

 あくまで「紹介」であって、社団に「取材依頼」をしているわけではないし、「先に記事配信ありき」ではないことは強調しておく。

 紹介された情報は、例えば社団共同の場合、厳しい目でチェックされ、「報道に値する」と判断されたものだけが出稿(配信)される。そこにはKK共同の判断は一切入っていない。紹介案件の多くは社団共同の選別過程でボツになっていることも付け加えたい。

「ワセダクロニクル」の記事