インテージは2018年2月1日、テレビ番組のタイムシフト視聴(録画視聴)の実態を把握するために、スマートテレビの視聴ログデータの分析と、自主企画調査を実施し、その結果を公表した。「1週間に1本程度以上テレビ番組を録画する人は約63%」「普段CMをスキップする人がスキップせずにCMを見る最大の要素は好きなタレントが出ていること」といった結果が明らかになった。

 2018年4月から民放5局の関東におけるテレビスポット広告の取引指標が世帯視聴率から個人視聴率に変更となり、CMのタイムシフト視聴分も加味されることが業界の話題になっている。そこでインテージは、この広告取引指標変更の背景にある「いまの生活者のタイムシフト視聴」の実態について、アンケート調査とスマートTV視聴ログを基に分析した。

 調査では、まず「テレビ番組を録画して見ている人」がどの程度いるかを調べた(図1)。約63%が1週間に1本程度以上を録画すると答えた。週5本以上録画する人も約32%と全体の3分の1近くを占めた。

図1●1週間に録画するテレビ番組の本数
図1●1週間に録画するテレビ番組の本数
(出所:インテージ)
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 週1本程度以上録画する人の割合を年齢別に見ると、男女ともに10代で最も高かった。一方、20代以上では若いほどタイムシフト視聴する人が少ないという結果だった。10代の結果から、「若年層にとっても録画してでも見たい魅力的なテレビコンテンツは依然存在すると言えそうだ」と分析する。

 録画して視聴されやすい番組はドラマだった。図2は関東地方の約16万台のスマートテレビの視聴ログデータを用いて、リアルタイム視聴と録画再生視聴の様子を集計した結果である。ニュース・報道番組やスポーツといったライブ性に価値があるジャンルはタイムシフトで視聴する人が少なかった。

図2●主要な番組のリアルタイム接触率とタイムシフト接触率
図2●主要な番組のリアルタイム接触率とタイムシフト接触率
(出所:インテージ)
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 バラエティー番組に関しては、リアルタイム視聴の多さとタイムシフト視聴の多さはあまり関係なかった。例えばタイムシフト視聴でよく見られている「アメトーーク!」や「マツコの知らない世界」は家にいる人が多い時間帯に放送されている。「その時間に家にいないから録画して見る」のではなく、「見逃したくないから録画しておく」というコアなファンが多いのかもしれないと分析する。