ソニー・グローバルエデュケーションは2017年2月1日、ブロックで組んだロボットをビジュアルプログラミングで動かせる学習用キット「KOOV」を2月18日に発売すると発表した(写真1写真2)。ソニー・グローバルエデュケーションは2015年4月にソニーとソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)が設立した企業で、STEM(Science、Technology、Engineering、Mathmatics)に軸足を置いた教育サービスを提供している。今回発売するKOOVのほか、同社は2015年9月からオンラインの算数コンテスト「世界算数(Global Math Challenge)」を開催している(関連記事)。

写真1●ブロックで組んだロボットをビジュアルプログラミングで動かせる学習用キット「KOOV」
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写真1●ブロックで組んだロボットをビジュアルプログラミングで動かせる学習用キット「KOOV」

 KOOVは、ブロック、電子パーツ、ビジュアルプログラミング環境の「KOOV アプリ」で構成するロボットプログラミングの学習キット。主に8歳から14歳の児童・生徒を対象とするが、“一人でできるという視点”での対象年齢であり、低学年の児童から、さらには大人も含め幅広い年齢層が使うことを想定しているという。あらかじめ作例などを紹介し、ブロックの組み立てからプログラミング、ロボットを動作させるまでを順を追って学べる「学習コース」も利用できる。KOOVユーザー同士が作品を公開し、交流できるコミュニティサイトも提供する。KOOV自体は2016年3月に発表され、昨夏発売するとしていたが、製造上の問題やKOOVアプリの作り込みにこだわったため、この時期の発売になったという。

写真2●KOOVで使う各種電子パーツ類など
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写真2●KOOVで使う各種電子パーツ類など
写真3●KOOVで作成した様々なロボットの例
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写真3●KOOVで作成した様々なロボットの例

 電子パーツは、DCモーターやサーボモーター、LED、ブザー、光センサーや加速度センサーなどのセンサー類を用意。これらを様々な色のブロックと組み合わせて“ロボット”を作成し、KOOVアプリで電子パーツの動きをプログラミングし、ロボットを動かす(写真3)。各種電子パーツは、Arduino互換のマイコンボードなどを内蔵する「KOOVコア」とケーブルで接続して動かす。KOOVアプリの動作環境はWindows 7以降(64ビット)、macOS 10.9以降およびiOS9以降(iPad限定)で、これらが動作するPC、Mac、iPadとKOOVコアはUSB2.0もしくはBluetooth 4.0で通信する。

写真4●ソニー・グローバルエデュケーション代表取締役社長の礒津政明氏(左)、ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長の北野宏明氏
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写真4●ソニー・グローバルエデュケーション代表取締役社長の礒津政明氏(左)、ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長の北野宏明氏

 ソニー・グローバルエデュケーション代表取締役社長の礒津政明氏はKOOVについて、「プログラミング教育に新しい選択肢を与えるもの」であり、「ブロックを使ってロボットを作り、創造性と思考力を育むもの」であると述べ(写真4)、家庭での学習用途のほか、小学校のプログラミング教育などでの利用も想定する。また、国内だけでなく中国でも同月発売予定で、今後は米国や東南アジアなどでの展開も検討しているという。

 ブロックで作成したロボットをプログラミングで動かす学習キットとしては、デンマークLEGOのレゴブロックを使った「LEGO MINDSTORMS EV3」が既に教育現場などでも使われている(関連記事)。礒津氏は、LEGO MINDSTORMSとKOOVの違いとして、(1)ブロックの種類、(2)開発者へのアプローチを挙げる。KOOVのブロックの種類は、創造性を生かしてロボットを作ってもらいたいとの主旨から7種類に絞っている。一方でKOOVコアにArduino互換ボードを採用し、電子パーツとKOOVコアを接続する3芯ケーブルや4芯ケーブルには汎用的なものを採用することで、第三者によるKOOVの拡張も比較的容易だとする。「オープンなエコシステムが広がるアーキテクチャーを採用している」(礒津氏)。

 KOOVは、ブロックと付属パーツ数が302ピースで電子パーツ数が24個の「KOOV アドバンスキット」(4万9880円、税別、以下同)、ブロックと付属パーツ数が172ピースで電子パーツ数が16個の「KOOV スターターキット」(3万6880円)、KOOV スターターキットをアドバンスキット同等の構成にできる「KOOV 拡張パーツセット」(2万1880円)の3種類を用意。ソニーストアおよび家電量販店のインターネットショップで販売する。