デルとEMCジャパンは2017年2月1日、報道関係者向けに説明会を開いた。2016年9月に米デルが米EMCの買収を完了してから、日本国内での経営方針について説明したのは初めて。日本国内ではデルとEMCジャパンは独立した法人だが、顧客の業種や分野別に担当領域が重複しない形で事業を展開する。サーバーやストレージなどの製品の国内シェアを2倍に増やす考えも明らかにした。

 米国では2016年9月の買収完了時点で、デルとEMCは合体し、米デル・テクノロジーズに移行している。連結売上高は約740億ドル(1ドル=110円換算で8兆1400億円)、全世界で従業員は約14万人、180カ国に拠点を展開する。

デルの平手智行代表取締役社長(右)とEMCジャパンの大塚俊彦代表取締役社長
デルの平手智行代表取締役社長(右)とEMCジャパンの大塚俊彦代表取締役社長
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 同日の説明会でデルの平手智行代表取締役社長は「デルとEMCジャパンのビジネス戦略や組織体制、製品などを展開するための機能は既に統合できている」と話した。2社は将来、一つの法人として統合する計画だが、時期は明確にしなかった。

 デルとEMCジャパンは顧客の業種別と製品別に、担当領域を分担する。顧客の業種別に見ると、デルは大手企業、官公庁、一般消費者向けなどを、EMCジャパンは業種別の大手法人、グローバルに進出している企業などを担当するという。EMCジャパンの大塚俊彦代表取締役社長は「顧客から見て、担当領域に重複が無いように分担できている」と説明した。

 製品別に見ると、デルが担当するのはサーバー、ネットワーク、クライアントPC、ワークステーション。EMCジャパンはストレージ、データ保護、SDS(ソフトウエア・デファインド・ストレージ)などが主だ。

 2社は、それぞれの製品の国内シェアを倍増したい考えだ。コンサルティングの人員を増やすほか、地域別のパートナー企業との連携を強化する施策などを明らかにした。デルの平手社長とEMCジャパンの大塚社長が2017年度の注力テーマとして口をそろえたのは「デジタルトランスフォーメーション」。IoT(インターネット・オブ・シングズ)やクラウドなどの活用を想定した顧客の事業を支援する。

 既に持っているサーバーやストレージ、ネットワークといった事業の強みを生かし、拡大したい考え。デルの平手社長は「サーバーやストレージなどの日本国内でのシェアは、欧州などの主要地域と同水準に引き上げたい」と話す。同氏によればサーバーのシェアは欧州などの主要地域では約20%、日本では約11%。ストレージは欧州などの主要地域では約35%だが、日本国内では約15%だという。