日立製作所は2018年1月29日、工場や発電所などの設備のメーターをカメラで自動で読み取って収集するサービスを始めると発表した。巡回してメーターの値を読み取る業務を不要にし、設備管理のIoT(インターネット・オブ・シングズ)活用を支援する。カメラと画像認識ソフトを使ってメーターの値を読み取るセンサーを設置。無線通信で集めたデータを顧客に渡す。年間契約で利用料を受け取るサービスの形態で提供する。
「メーター自動読み取りサービス」は同年4月から、電力会社や鉄道会社、製造業などに提供する。設備の状態を示すメーターを通信機能付きのものに変えるといった大掛かりな工事をしなくても、センサーを取り付けるだけでデータを集められるようになる。点検員が巡回してメーターを読み取る手間をなくせるうえ、点検の頻度を上げられる。時系列でデータを見れば、設備の不具合につながる予兆なども把握しやすくなる。
メーターの正面に設置するカメラと小型のコンピュータを組み合わせた「レトロフィット無線センサー」を顧客の設備に設置する。カメラの画像からメーターが示す値を読み取り、無線センサーネットワークの1方式である「SmartMesh」を使って送信する。電池で駆動するため、配線工事は不要。1日1回点検する場合、単3形で容量2600mAhの産業用電池で約3年間駆動できるという。
丸型のメーターのほか、液面計やカウンター、色の変化を見る吸湿呼吸器などの数値も読み取れる。小型コンピュータのマイコン上で画像処理し、読み取った値だけを送信する方式にして、消費電力を減らした。目視以上の精度を確保できるという。設置や電池交換、異常時の対応などは、日立製作所グループが担当する。日立システムズの全国約300カ所のサービス拠点を活用する。トラブルが発生した際には、3営業日以内に顧客を訪問する。
サービスは同年2月1日に始める。最低利用期間は3年。利用料はメーター10点の値を1日1回読み取って収集する場合で、1年当たり720万円から。監視するメーターの数や頻度によって料金は変わる。異常値を検出したときに警告を出すサービスもオプションで提供。導入効果の検証用にメーター5点を2カ月間監視する「トライアルサービス」は270万円から。