野村総合研究所(NRI)は2017年1月27日、2016年4~12月期の連結決算(2016年度第3四半期決算)を発表した。売上高は前年同期比1.6%減の3085億円、営業利益は前年同期比1.4%減の426億円で減収減益となった。

 減収減益の要因は、前年同期に好調だった金融IT向けの大型案件が減少したことや、製造業やサービス業向けの運用サービスが減少したことなど。横山賢次常務執行役員は製品販売が伸び悩んだ背景を「国内景気が緩やかに回復しているものの、日銀のマイナス金利や米国の政権交代から不透明感が増した」ことと話した。

野村総合研究所 グローバル業務企画、コーポレートコミュニケーション、総務、業務、調達管理、経理財務担当の横山賢次 常務執行役員
野村総合研究所 グローバル業務企画、コーポレートコミュニケーション、総務、業務、調達管理、経理財務担当の横山賢次 常務執行役員
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 セグメント別に見ると、「金融ITソリューション」セグメントは証券業・保険業向けの開発・製品販売が減少し、売上高が前年同期比3.4%減の1825億円、営業利益は同9.3%減の199億円だった。「産業ITソリューション」は売上高が前年同期比0.2%増の767億円、営業利益は同22.7%減の59億円だった。

 一方で、顧客企業へのコンサルティングやIT基盤の支援サービスは前年同期より好調だった。売上高は前年同期比2.8%増の211億円、営業利益は同7.7%増の36億円だった。「コンサルティング」セグメントでは、クラウド需要の高まりなどでシステムコンサルティングのニーズが増え、顧客の大型開発案件関連サービスが増加したという。

 「IT基盤サービス」セグメントでは、大阪第二データセンターの開所で内部売上高が増加したことから、売上高は前年同期比11.8%増の908億円、営業利益は22.4%増の107億円だった。

 グローバル事業では、日系企業や現地の政府・企業へのサービス展開を狙い、海外IT企業との協業やM&A(合併・買収)に注力しているとした。2017年3月期は第1四半期に資産運用分野に強みを持つ米カッター・アソシエイツを、第3四半期にはアジア・オセアニア地域での事業展開を目的にオーストラリアのASGグループを買収。横山常務執行役員は「他社の失敗から学ぶべきは学び、規模を追うのではなく目的を持った買収でシナジーを出していきたい」と話した。

 2017年3月期通期の連結業績予想は、2016年10月に下方修正した予想から変更はなかった。売上高は前年同期比0.8%増の4250億円、営業利益は同1.2%増の590億円とした。