「配送先不在による再配送の割合を約3%まで減らすことができた。劇的な効果だ」。

 アスクル ECR本部 配送マネジメント 執行役員の池田和幸統括部長イノベーション・オフィサーは2017年1月27日、目黒雅叙園(東京・目黒)で開催した「第6回イノベーターズ会議」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で講演した。題目は「最新テクノロジーで実現するアスクルのeコマース物流革命」。

アスクル ECR本部 配送マネジメント 執行役員の池田和幸統括部長イノベーション・オフィサー
アスクル ECR本部 配送マネジメント 執行役員の池田和幸統括部長イノベーション・オフィサー
(撮影:井上 裕康、以下同じ)
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 冒頭の発言は、ビッグデータを活用して配送計画を作るシステムによって得られた効果だという。同氏によれば、不在による再配送の割合は約20%が一般的だという。「社会問題と言えるほど、大きな損失につながっている」(池田氏)。

 再配送を減らすため2016年8月、きめ細かく受け取り時間を指定できるサービス「Happy On Time」を開始した。まずは東京や大阪などの一部地域を対象とした。1時間単位で受け取り時間を指定でき、配送の10分前に顧客のスマートフォンに到着予定時間を通知する。

 同サービスは配送計画の作成に、過去の配送計画や配送実績、渋滞情報、気象情報といったデータを使っている。データの分析には人工知能(AI)も活用。配送管理システムと連携し、到着時刻の精度や配送効率を向上させるのに役立てている。

 不在による再配送の減少で、配送担当者の生産性も向上できているとした。「受け取り時間をきめ細かく指定できるサービスと聞くと、配送の担当者の作業負荷が増えると思われがち。しかし実際は、再配送が減ることで作業効率は向上した」(同)。