東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センターは2017年1月26日、ユーザーが普段使っているスマートフォンなどの利用履歴データを個人認証に使う「ライフスタイル認証」の実証実験の開始について、記者向け説明会を開いた。

 実証実験は「MITHRA Project (ミスラプロジェクト)」という名称で2017年1月19日から開始した。3月まで実施する。小学館の漫画アプリ「マンガワン」や、凸版印刷の電子チラシアプリ「Shufoo!」、オムロンヘルスケアの活動量計などのユーザーらから同意を得て、5万人規模の被験者を募る。

 実証実験では、端末IDやIPアドレス、WiFiなどのデータや利用時間、位置情報のほか、アプリでのマンガやチラシの購読履歴などのデータの規則性を要素として抽出して認証に使う。これによって、既存のIDやパスワードに代わる認証技術の確立を目指す。

 さらに、同年1月からiPhoneとAndroid向けの実証実験アプリを公開した(写真1)、アプリではライフスタイル認証の精度向上のための位置情報などのデータを提供する。実証実験への参加を促すため、1月27日から29日まで東京都港区の「カレッタ汐留」などにデモ機器を設置してイベントを行う。

 実証実験アプリをインストールしたユーザーがイベントへの参加登録をして、デモ機器にスマホを近づけると、設置された鏡にユーザーごとのメッセージを映し出す(写真2)。デモイベントは2月11日から19日に東京都文京区の東京ドームシティなどでも行う。

写真1●「MITHRA - 東京大学実証実験アプリ」の画面
写真1●「MITHRA - 東京大学実証実験アプリ」の画面
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写真2●東京都港区の「カレッタ汐留」に設置されたデモ機器
写真2●東京都港区の「カレッタ汐留」に設置されたデモ機器
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 実証実験で収集したデータは2017年4月から統計データに加工し、これまで開発したアルゴリズムでのデータ解析や、位置情報やWiFiなどの相関関係の調査、認証要素の組み合わせの研究に利用する。解析結果は、今後シンポジウムなどで発表する予定だ。