三菱電機は2018年1月25日、発電事業者や小売電気事業者が日本卸電力取引所(JEPX)で入札する際に担当者の意思決定を支援するソフトウエアを開発したと発表した。主にスポット市場での利用を見込む。同社が販売する電力取引支援システム「BLEnDer Trader」に組み込んで提供する。2020年の提供を目指す。
説明会で、水落隆司先端技術総合研究所所長は「2016年の電力小売り全面自由化に続き、2020年には発送電分離が行われる。現在、スポット市場で取引される電力の割合は全体の数%だが今後は拡大する」と見通しを述べた。
電気事業法において、発電事業者や小売電気事業者は電力の発電量や販売量の計画値と実績値を30分ごと一致させることが義務付けられている。事業者は電力の過不足が生じないよう発電量やJEPXでの取引量を調整する必要がある。電力の需要やそのスポット価格は天候や気温など不確実な要素で変動するため、担当者は発電設備を稼働するかどうかや取引量を迅速に決める必要がある。
BLEnDer Traderはインターネットを介してJEPXと接続し、入札や決済など一連の取引プロセスを行うパッケージソフトだ。新たに開発したのは担当者の意思決定を支援する2つの技術。一つは、天候や気温などで変動する電力価格を確率分布を使ってモデル化するものだ。同モデルに基づき収益が最大となるよう、事業者が保有する発電設備の運用方法や取引量を定めたポートフォリオを提示してくれる。
もう一つは、同ポートフォリオに対して電力需要の変動など複数のシナリオに基づく重回帰モデルを作成し収益分布を計算する技術だ。採用したポートフォリオの見直しや複数のポートフォリオの比較が可能という。スポット市場において、担当者は取引リスクを短時間に把握したうえで入札できるようになる。