日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2018年1月25日、東証一部上場企業とそれに準ずる企業を対象に実施した「企業IT動向調査2018」の、IT予算に関する速報値を発表した。2018年度のユーザー企業のIT投資は、前年に比べて大幅に伸びる見込み。IT投資の伸びは、過去10年で最高の水準という。
2018年度のIT予算の増減予測では、2017年度に比べて「増加」とした企業は全体の40.7%。45.5%が「不変(前年度並み)」と回答した。IT予算を「増やす」割合から「減らす」割合を差し引いたDI(ディフュージョン・インデックス)は27.0ポイント。17.7ポイントだった2017年度を9.3ポイント上回ったほか、過去10年で最も高かった2016年度(25.6ポイント)よりも高かった。
特にIT投資に積極的なのが、建築・土木業界。DI値は、全体を10ポイントほど上回る36.4ポイントだった。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催などを受けて建築工事が活発化し、建築・土木業界では人手不足が深刻化している。これを解消するためにIT活用を進め、生産性向上を図りたいとの狙いがIT投資にも表れているとみる。
売上高規模別にIT投資の動向を分析すると、売上高が大きい企業ほど「不変」が減り、「増加」と「減少」に二極化していることが明らかになった。売上高が1兆円以上の企業では、IT投資が「増加」と回答する企業が53.8%に上る一方で、30.8%の企業が「減少」と回答した。
「IT投資で解決したい中期的な経営課題」では、「業務プロセスの効率化(省力化、業務コスト削減)」「迅速な業績把握、情報把握(リアルタイム経営)」を選んだ企業が多かった。この結果は過去の調査と同様の傾向だが、前年調査に比べて「業務プロセスの効率化」が9.3ポイント増加した。生産年齢人口の減少による人手不足の深刻化、働き方改革への取り組みの進展などが影響しているという。
同調査では、4000社のIT部門長に調査票を郵送し、Webまたは郵送で回答を得た。有効回答社数は1078社。IT予算に関する有効回答数は705社、IT投資で解決したい経営課題に関する有効回答は1003社。正式なデータや分析結果は、2018年4月上旬に発表予定という。