日本航空(JAL)は2017年1月25日、国内線の機内で提供している無線LANによるインターネット接続サービス「JAL SKY Wi-Fi」について、サービスを提供している全便を対象に2月1日から8月31日まで無料にすると発表した。同サービスを導入予定としていた全77機へのアンテナ設置が完了したことを受けたもので、無料化で認知度を高め他社便との差異化を図る。

国内線で機内無線LANの無料キャンペーンを展開するJALの機体。機体の中央上部にある半円形のドーム内にKuバンドのアンテナを設置している
国内線で機内無線LANの無料キャンペーンを展開するJALの機体。機体の中央上部にある半円形のドーム内にKuバンドのアンテナを設置している
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 対象となるのは、ボーイング777-300型機、777-200型機、767-300型機、737-800型機のそれぞれ全機。一部の地方・離島路線で運用している小型機は、無線LANサービスを提供していないため対象外となる。対象便はJALのWebサイトの予約画面や発着案内画面で確認できる。利用には、接続サービスのプロバイダーである米Gogoのアカウント登録が必要。

 同社はこれまでも一部路線で機内Wi-Fiの無料キャンペーンを実施していたが、鉄道やバス、商業施設などで無線LANの無料サービスが広がっていることを踏まえ、期間限定ながらサービス提供中の全便への拡大に踏み切る。ゴールデンウイークや夏休みなど繁忙期の利用状況も踏まえ、9月以降も継続するか否かを検討するとみられる。

 同サービスでは、機体上部のアンテナからKuバンド帯の通信衛星を介しインターネットに接続している。1機あたりの通信速度は最大30Mbps程度で、これを個々の便に搭乗している乗客で共用する仕組み。

 無料の機内無線LANサービスを巡っては、スカイマークが2014年にエアバスA330型機で実施したことがあるが、多数の乗客が一斉に接続することによる実効速度の低下が課題となっていた。JAL SKY Wi-Fiでは実効速度の大幅な低下を防ぐため、これまでも動画配信やIP電話、P2Pなどの利用を制限している。同社は「今回の無料キャンペーンで利用者が増加したとしても、実効速度が大幅に低下することは想定していない」としており、こうしたプロトコル制御や公平制御などにより実効速度の極端な低下を防ぐ方針とみられる。

 JALの中期経営計画では、主要目標の一つとして「顧客満足度1位」を掲げている。ベンチマークとしている日本生産性本部の「日本版顧客満足度指数」(JCSI)の2016年度調査において、JALは国際航空会社の「顧客満足」指標で1位を獲得している一方、国内航空会社の顧客満足指標では5位にとどまり、スターフライヤーや全日本空輸(ANA)などに後れを取っている。機内無線LANのサービス展開はJALが競合他社に先んじており、JALは今回の施策を通じ、広範な便で無料の無線LANが使えることを打ち出し、顧客満足度の向上につなげる狙いもありそうだ。