日本航空(JAL)は2018年1月24日、同年4月1日付で赤坂祐二常務執行役員が社長に昇任すると発表した。植木義晴現社長は代表権のある会長となる。

社長交代会見で握手を交わすJALの植木義晴現社長(左)と、4月1日付で社長に就任する赤坂祐二常務執行役員
社長交代会見で握手を交わすJALの植木義晴現社長(左)と、4月1日付で社長に就任する赤坂祐二常務執行役員
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 赤坂氏は1月24日に開催された社長交代会見で、今後のJALの経営について「これまでと同様に、いたずらに規模を追うのでなくきちんと収益性を追うことを重視したい」とコメント。「当社は過去に規模を追って、それによりひずみや失敗があった。また、現在は(人材などの)リソースが限られてきている。限られたリソースをどこに配分するかが大事だと考えており、規模を優先するべきではないと思っている」と語った。

 2010年の経営破綻直後に会長を務めた稲盛和夫氏が京セラから持ち込み、JAL再生の原動力となった「部門別採算制度」(アメーバ経営)と「JALフィロソフィ」(経営哲学)については「今も各職場では毎朝『フィロソフィ手帳』を読んだり意味をみんなで確認したりしている。そうした地道な努力を継続して長くやっていく」(赤坂氏)として、引き続き経営の根幹に位置づける姿勢を示した。

 赤坂氏は質疑応答で、今後の経営におけるITの重要性について触れ「日本はこれまで経験したことのない少子高齢化社会になるし、特に航空会社は労働集約型という側面がある。経営資源、特に人的資源は大変大きな経営課題で、どんどん使って消耗していくことのないよう、仕事の仕組みを考えないといけない」と指摘。その解決のために「ITやロボットをこれからどんどん活用していきたい」と語った。

 赤坂氏は1962年生まれ。1987年に技術系社員として入社して以来一貫して整備畑を歩み、現在はJALの整備本部長と整備子会社JALエンジニアリングの社長を務める。「私が就職活動をしたのは(1985年に発生した)御巣鷹の日航機墜落事故の翌年。大学で航空工学を専門していた私にとってあの事故は筆舌に尽くしがたいものであり、あのような事故を起こさないために入社した。当時の気持ちはいささかも変わっていない。安全運航は当社の存立基盤であり、今後も守っていきたい」と抱負を語った。