NTTデータは2017年1月23日、PCで実施する定型業務をソフトウエア型のロボットで代行・自動化する「RPA(Robotic Process Automation)」の推進チームを発足すると発表した。NTTデータの事業部門や研究開発部門といった部門を横断した組織する推進チームが、RPAに関連する部門間で情報共有を進める。これによってAI(人工知能)などの先進技術を組み込んだ、RPAの導入コンサルティングや業務アウトソーシングサービスをユーザー企業に提案しやすくする。

 少子化などによる労働人口の減少を背景に、国内企業の人手不足が顕在化している。そこでホワイトカラーの定型業務の効率化にユーザー企業の注目が集まっている。既に業務プロセスの一部の外部委託(BPO:Business Process Outsourcing)などは進んでいるが、最近はさらに一歩踏み込んでRPAに注目するユーザーが増えてきた。あるシステムから別のシステムにデータをコピー・アンド・ペーストするような作業や、データ入力作業の漏れのチェックといった生産性が低い定型業務を、ソフトウエア型のロボットに代替させる発想である。このようなRPAに対するニーズの高まりを踏まえ、NTTデータは導入支援を強化するチームを編成することにした。

 チームは当初、5部門の40人体制で活動を開始する。具体的には、(1)業務可視化のコンサルティングなどを手掛ける「第二公共事業本部 第四公共事業部」、(2)AIを活用した研究開発などに取り組む「技術革新統括本部 技術開発本部」、(3)システム開発・保守・運用業務の自動化に取り組んでいる「技術革新統括本部 生産技術部」、(4)金融機関向けにRPAの導入手順や実行体制を整備する「金融事業推進部 技術戦略推進部」、(5)BPO事業を手掛ける「ビジネスソリューション事業本部 BPOビジネス推進室」--である。さらに今後、順次拡大する意向を持っている。

 NTTデータは2016年から、NTTアドバンステクノロジのRPAツール「WinActor」を販売してきた。ただし、従来はもっぱら(1)の第二公共事業本部 第四公共事業部が案件を取り扱い、(2)~(5)の部門とは情報の共有が十分ではなかった。例えばユーザー側の課題の情報が伝わりにくかったため、研究開発部門や生産技術部門が関連する技術を保有していたとしても、提案しにくかったという。

 今回組織した部門横断の推進チームが、各部門への情報共有を徹底することで、このような課題を解消。技術開発本部が保有するAI技術や、生産技術部が保有するIT現場の自動化の知見を、ユーザーへの提案に生かしていく。