米Qualcommは現地時間2017年1月21日、米Appleが同社を相手取って訴訟を起こしたことを明らかにした。米メディアの報道によると、Appleは半導体ライセンス料の引き下げと10億ドルの払い戻しを求めているという。

 Qualcommは、「Appleの訴状内容を精査している段階」とした上で、「Appleの主張が事実無根であることは明らか」と反論。韓国当局による調査の際にAppleが事実について誤解を招く説明をするなど、世界中でQualcommの事業を規制する動きを積極的に促していると非難した。

 Appleは、Qualcommが半導体のライセンス料を過剰請求しているほか、リベートの支払いを保留していると主張している。Appleによれば、QualcommはAppleが競合社から半導体を調達しない見返りに10億ドルのリベートを約束していたが、韓国公正取引委員会のQualcommに対する調査で、Appleが韓国当局に情報を提供したことの報復として、10億ドルの支払いを拒否したという(米New York Times米CNETの報道)。なお韓国当局は2015年12月に、Qualcommに対して1兆300億ウオン(約8億9000万ドル)の制裁金の支払い命じた。

 Qualcommは1月17日にも米連邦取引委員会(FTC)から提訴されたばかり。FTCは、Qualcommがスマートフォンなどに使われる半導体の販売およびライセンス供与において反競争的な手法を用いたとみている。また、Appleにベースバンドチップを独占供給するためにAppleに対するライセンス料を値下げした疑いがあるとしている(関連記事:Qualcomm、競争阻害の疑いでFTCが提訴 Appleとも排他的契約か)。

 Qualcommは中国でも、1年以上にわたる調査を受け、2015年2月に60億8800万人民元(約9億7500万ドル)の罰金を支払うことで中国国家発展改革委員会(NDRC)と和解した(関連記事:Qualcomm、罰金9億7500万ドルで中国独占禁止当局と和解)。

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