衛星放送協会は2017年1月17日に年頭記者会見を開催した。和崎信哉会長(WOWOW 代表取締役会長)は、多チャンネル業界にとって2017年はどういう年と位置付けられるかについて、自らの考えを述べた。

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 2017年1月11日の電波監理審議会の答申によって、2018年開始予定の4K・8K実用放送に関する業務の認定を受ける事業者の顔ぶれが固まった。この点を踏まえて和崎会長は、「来たるべき4K・8K時代を目前として、放送ビジネスの在り方を具体的に見出して、どのように花を咲かせていくか。関係者はその選択を迫られることになる」「2017年は次の時代に向けた非常に重要な年。鍵になる年になると捉えている」と述べた。

 帯域不足のため未だにSDTV(標準画質)放送を行っている東経110度CS放送のSDTVチャンネルの高画質化については、「帯域の問題があるので衛星放送協会ができる仕事は限られているが、2017年は何としてもこの問題に解決の道筋を付けたい」とした。「これまでも東経110度CS放送の高画質化は課題として上がっているが、なかなか前に進むことができなかった。この4K時代を前に、いよいよ官民一体となってこれに取り組んでいきたい」と意欲を見せた。

 多チャンネルサービスの2016年11月末時点の有料・多チャンネル放送契約数も発表した。契約数は1365万件だった。2015年同月比では5万件増となったが、2016年3月末時点の実績(1368万件)を3万件下回っている。「年度末に向けて、2016年3月末時点の数値をさらなる努力の下で超えられるかどうかが問われている」と現状について述べた。

 説明終了後の質疑応答では、サッカーなどのスポーツコンテンツの放映権や配信権の高騰が多チャンネルサービスに与える影響についての質問が出た。スポーツコンテンツの放映権取得を巡る動きとしては、例えばPerform Groupの日本法人がJリーグのリーグ戦について2017年より10年間の放映権契約を締結し、その影響で2017シーズンについては多チャンネルサービスの「スカパー!」で試合を視聴できないといった事象が発生している。

 和崎会長は、「衛星放送協会としては個別具体的な案件について述べるのは控えたい」としたうえで、私見という形で放送と配信の関係について、自らの考えを示した。「放送と配信では住み分けができる部分と、バッティングする部分の両面がある」「バッティングして競争するものや、アライアンスを組めるものなど、様々なケースが考えられるのではないか」とした。