中国ではこのほど、スマートフォンなどで利用するインターネットアプリケーション(アプリ)について、アプリストアなどを運営する配信業者に登録を義務づける制度が始まったと複数の海外メディア(米Wall Street Journal英Financial Times米New York Timeなど)が現地時間2017年1月16日までに報じた。

 それによると、同国では2016年8月に、中国国家互聯網信息弁公室(Cyberspace Administration of China:CAC)が同制度を発表していた。CACは2017年1月13日にアプリ配信業者に対し告知を行い、同月16日に同制度が施行された。

 Wall Street Journalによると、中国ではこれまでWebコンテンツに対する規制を強化し、ポルノコンテンツのほか、テロリズムなどの違法活動を助長するもの、当局が反政府発言とする好ましくない噂などのコンテンツを禁止してきた。しかしアプリには多種多様な機能があり、利用者の情報共有のプラットフォームとなっているため、当局が監視するのは困難だった。

 CACの告知は、その内容に不明確な点があり、配信業者に登録を義務づけることの具体的な目的が分からない。しかし当局は新制度により、配信業者に何らかのアプリ監視の責任を負わせることを狙っているのではないかと、New York Timeは伝えている。

 中国では先ごろ、米Appleが同国で提供しているアプリ配信サービスで、New York Timeのニュースアプリが入手できなくなった。これは当局の要請に応じAppleが同アプリをサービスから削除したもの。中国当局はコンテンツの監視に関して、インターネット企業に大きく依存しているという。

 なお中国では米Googleのアプリストアは遮断されている。その一方で、同国にはBaidu(百度)、Alibaba(阿里巴巴)、Tencent(騰訊)をはじめとするインターネット企業や、Xiaomi(小米科技)、Huawei(華為技術)などのスマートフォンメーカーがAndroid向けアプリストアを運営しており、その数は200を超えるとFinancial Timesは伝えている。