米Gartnerが現地時間2017年1月12日に公表した世界のIT支出に関するリポートによると、2017年の年間支出推計額は3兆4640億ドル(398兆2907億円)となり、前年比2.7%の伸びにとどまるという。これに先立つ昨年10月に同社は2017年の世界IT支出額が前年比で2.9%増加すると推計していたが、今回のリポートでこれを下方修正した。

 同社のリサーチバイスプレジデント、David Lovelock氏によると、クラウドやブロックチェーン、AI(人工知能)といった主なIT技術に対する支出は引き続き増加しており、2017年は回復の兆しを見せていた。「本来ならば、これらがIT支出の伸び率を2.7%を上回る水準に押し上げるはずだった。しかし世界的な政治の不透明さが起因し、企業は様子見姿勢を強めている。これがIT投資の抑制につながっている」(Lovelock氏)。

 2017年の支出推計額を分野別にみると、「企業向けソフトウエア」が3550億ドルで、前年比伸び率は6.8%と最も高くなる見通し。「ITサービス」も同4.2%増の9380億ドルと、堅調に推移すると同社は見ている。このほか、「データセンターシステム」への支出額は同2.6%増の1750億ドル、世界IT支出全体の約4割を占める「通信サービス」は同1.7%増の1兆4080億ドルとなる見通し。

 一方、パソコン、携帯電話、タブレット端末などの「デバイス」は5890億ドルとなり、前年比ほぼ横ばい(0.1%増)にとどまるという。ただしこの分野では、パソコンの買い替え周期、高価格帯ウルトラモバイル(薄型軽量ノートパソコン)の性能向上、価格競争といった要素が手伝い、2018年には回復すると同社は分析している。

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