新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は2017年1月12日、製造現場での利用を想定したIoT(インターネット・オブ・シングズ)システムの構築サービス「IoXソリューション」の提供を始めた。IoXソリューション事業推進部の井上和佳専門部長は「ウェアラブルデバイスの技術が進歩し、IoXの効果を刈り取る時が来た」と話した。

IoXソリューション事業推進部の井上和佳専門部長
IoXソリューション事業推進部の井上和佳専門部長
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 IoXはNSSOL版のIoTのこと。井上専門部長は「誰でも熟練従業員のように働けるような、従業員を支えるIoTシステムが求められている」と話す。人に注目したIoTシステムを構築することから、NSSOLではモノ(Things)とインターネットにつながるIoTと、ヒト(Human)とインターネットにつながるIoH(インターネット・オブ・ヒューマン)を総称してIoXとしている。

 IoXソリューションは、専用のデータ連携システム「IoXプラットフォーム」を使った業務システム構築サービス。IoXプラットフォームはIoTデバイスと業務アプリとの間でデータの送受信を管理するシステムだ。IoTデバイスやデバイス利用者の管理機能を持つ。柔軟にスケールアウトしやすい基盤を構築するOSS(オープンソースソフトウエア)を採用しており、接続するIoTデバイスの数が増えてもデータの収集や配信の処理時間が長くなりにくいという。

 NSSOLはIoXソリューションの例として、実証実験中のシステムを紹介した。井上専門部長が「試験導入した企業で実際の業務に使い効果が出ている」と紹介したのが、遠隔作業支援システム。遠隔地から熟練従業員が作業の指示を出し、現場の従業員が身につけたスマートグラスに指示内容を表示できる。指示情報の映像はスマートグラスを通じて、実際の視界に重ねて表示される。スマートグラスにはカメラが付いていて、遠隔地の従業員は現場従業員の視界を確認しながら指示ができる。

遠隔作業支援システムで従業員が身につけるIoTデバイスの例
遠隔作業支援システムで従業員が身につけるIoTデバイスの例
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 ほかにも、バーコードを使って倉庫内の商品位置をスマートグラスに表示するシステムや、フォークリフトに取り付けたカメラから物品の配置や在庫数を自動管理するシステムを紹介した。

 井上専門部長は、IoXソリューションでシステムを構築する時の注意事項として「従業員のプライバシーへの配慮に欠けたデータ収集や、従業員を酷使するためのシステムになってはいけない。IoXソリューションは現場の従業員を助けるためのシステムとアピールしていきたい」と話した。