綜合警備保障(ALSOK)と三菱地所、AI(人工知能)ベンチャーのPKSHA Technologyは2018年1月11日、商業施設内に設置した監視カメラの映像を深層学習技術でリアルタイムに解析し、困っている人を自動的に検知する実証実験を実施すると発表した。

監視カメラ映像の解析例。青枠は通常の状態の人、赤枠は困っている人を示す
監視カメラ映像の解析例。青枠は通常の状態の人、赤枠は困っている人を示す
(出所:ALSOK)
[画像のクリックで拡大表示]

 実験は1月22日から1月31日まで、東京都千代田区の新丸の内ビルディングで実施。地下通路内に監視カメラ4台を設置して通行人を撮影し、その映像をPKSHAの深層学習ソフトウエアで解析する。従来は警備員が通路を巡回し目視していたが、監視カメラとAIを使った自動検知によりきめ細かく状況を把握できるようにする狙いだ。

 キョロキョロする、行ったり来たりするといった行動は「道に迷っている」、うずくまる、倒れるといった行動は「体調が優れない」とそれぞれ判断し、警備員のスマートフォン(スマホ)に通知。警備員がその人のところへ行き、必要に応じて支援する。上述の行動のほか、乳幼児連れの人や車イスを使用している人も同様に検知する。

 ALSOKは実証実験を通じ、実際に困っている人を適切に検知できるか、警備員との連携がスムーズにできるか、警備員が困っている人にスムーズに対応できるか、といった点を確認する。実用化については「まだ初期の検証段階であり、具体的な計画はまだ立てていない」(ALSOK)としている。

 三菱地所は東京・丸の内周辺の自社保有ビルにおいて、ITを活用した新たなシステムの実証実験を積極的に実施している。2017年11月にはウエアラブルカメラを使ったセキュリティシステムによるイベント警備をセコムと、12月には自動運転バスの試験走行をソフトバンクとそれぞれ実施しており、今回の実証実験もそうした取り組みの一環としている。