米Appleがドイツの光学機器メーカー、Carl Zeissと連携し、AR(拡張現実)やMR(複合現実)用の軽量な眼鏡の開発に取り組んでいると、複数の海外メディア(米AppleInsider米Business Insider米Mashableなど)が現地時間2017年1月10日までに報じた。

 これはAR・VR技術のエバンジェリストで、ブロガーのRobert Scoble氏が自身のFacebookページで報告したもの。2017年中にも発表される見通しのAR・MR眼鏡をAppleとCarl Zeissが開発しているとの情報について、同氏がCarl Zeissの従業員に確認を取ったという。

 Appleがこうした眼鏡型端末のプロジェクトを進めているという報道はこれまでにもあった。米Bloombergは昨年11月、Appleが無線でiPhoneと接続し、画像などのデジタル情報を利用者の視界に表示する端末の製品化を検討していると伝えていた。Bloombergによると、Appleはすでにサプライヤーの1社に対し、試験を目的としたディスプレー部品を発注したという(関連記事:Apple、メガネ型端末の製品化を検討か、早ければ2018年に登場との情報)。

 このほか、AppleのAR、VR(仮想現実)分野の研究開発についても、さまざまに報じられている。同社は昨年、AR、VR研究の第一人者、Doug Bowman氏を雇い入れた。同氏は、バージニア工科大学のコンピューター科学の教授で、同大学のヒューマンコンピューターインタラクション・センターのディレクターを務めていた人物。3次元(3D)ユーザーインタフェースの設計と、仮想環境の有益性に関する研究が専門で、その研究範囲は、ARとVRの両分野に及ぶ(関連記事:Apple、VRとAR研究の第一人者を採用 ヘッドセット端末など開発中か)。

 またAppleには、これらの技術を研究する数百人規模の部門があり、同社がこれまで買収したさまざま企業の人材がいると言われている(関連記事:Apple、仮想/拡張現実の開発チーム設置か 積極的に人材雇用も)。

 同社は2013年に3Dモーショントラッキング技術を手がけるイスラエルのPrimeSenseを買収したのち、2015年にはAR用アプリケーションの開発ソフトウエアや、現実のテーブルの表面などを大型タッチスクリーンとして利用するためのウエアラブル技術を手がけるドイツのMetaio、モーションキャプチャーを使い、人間の表情をリアルタイムでアバターなどのデジタルフィギュアに反映させる技術を手がけるスイスのFaceshiftを買収した。また昨年は、顔の表情から感情を読み取る人工知能(AI)技術を手がける米Emotientを買収したとも伝えられた(関連記事:AppleがまたAI企業を買収、「顔の表情分析し、感情を認識」)。