メルカリが、2017年11月に設立した子会社メルペイを通じて2018年中にも仮想通貨交換業登録を目指すことが日経FinTechの取材で明らかになった。メルペイは金融分野の新規事業を手掛ける方針を示していたが、事業の全容はこれまで明らかになっていなかった。今後、ビットコインをはじめとする主要仮想通貨を決済手段としてフリマアプリ「メルカリ」に組み込む。

 メルペイ代表取締役の青柳直樹氏が日経FinTechの取材で明らかにした。仮想通貨交換業は2017年4月に施行された改正資金決済法で新たに規定されている。2017年12月末時点で登録が認められた事業者数は16社。メルペイは今後、金融庁に仮想通貨交換業の登録を申請する予定だ。

 メルカリはスマートフォンで個人同士が売買するフリマアプリ「メルカリ」を2013年7月に開始。2017年12月16日には日本、米国、英国での累計ダウンロード数が1億を突破した。メルペイは国内で6000万強のダウンロード数を持つメルカリの顧客基盤をベースにまずは国内市場で金融サービスを手掛けていく予定。決済に加えて、資産運用、融資、保険、与信基盤などを含む総合金融サービスプラットフォームの構築に乗り出す。

 青柳氏は「現在の仮想通貨は投機的な側面が強い」と指摘。一部家電量販店などではビットコインが利用可能になっているものの、いまだ決済で利用可能な店舗は限られている。「(仮想通貨の)社会実装において、先鞭をつけたい」(青柳氏)としており、まずはビットコインなどの主要な仮想通貨をメルカリの決済で使えるようにする。

 その上で自社がトークンを発行するICOにも興味を示した。「メルカリとしてのスタンスは決まっていない」(青柳氏)とした上で、「発行体が開発費用調達のためにトークンを発行しているのが現状。社会的なルールが定まった上で、投機的ではなく、社会的便益をもたらす責任あるICOが望ましいと考えている」(青柳氏)とした。金融庁が2017年10月に利用者及び事業者向けに注意喚起を行っている事実を踏まえ、慎重に状況を見極めて判断していく方針だ。