KDDIと永和システムマネジメントは2017年1月10日、米スクラム(Scrum Inc.、スクラム社)とアジャイル開発手法の教育で協業すると発表した。スクラム社の教育プログラムを日本企業向けにローカライズし、実務担当者や経営者向けに研修やセミナーを提供する。2017年2月に第1弾を実施、以後も定期的に展開していく計画だ。

 スクラム社は、アジャイル開発手法「スクラム(Scrum)」の提唱者の一人であるジェフ・サザーランド氏が設立した会社で、スクラムに関する研修やコンサルティングサービスを提供している。同社がスクラムの本家であり、「教育プログラムの質が高い」(永和システムマネジメントの平鍋健児社長)ことから協業を決めた。

 スクラムはアジャイル開発手法の中で最も一般的な存在で、日本でもスタートアップ企業やWeb企業を中心に普及が進みつつある。ただ、「世界に比べると日本は普及のペースが非常に遅い」と平鍋氏は指摘する。

 それがここに来て、状況が変わり始めた。「IoT(インターネット・オブ・シングズ)などを活用したイノベーションの実現に向けて、『小さいチームの強さ』を企業が再認識し、アジャイル開発を採用する機運が高まっている」(平鍋氏)。今回の協業はこうしたニーズに応えるものだ。

 KDDIは2016年10月にアジャイル開発センターを発足、社内や同社の顧客に向けたアジャイル開発の体制を強化している。同社と永和システムマネジメントは約3年にわたり、アジャイル開発に関して協力関係にあるという。

 両社が2月に提供するのは、実務担当者向けのセミナー2種類と、経営者向けセミナーの計3種類。実務担当者向けには、アジャイル開発チームの構築手法やアジャイル開発推進手法に関する「認定スクラムマスター研修」(2日間、一人当たり税抜20万円)と、アジャイル開発でのサービス要件定義手法に関する「認定スクラムプロダクトオーナー研修」(同)を実施する。

 経営層向けには、サザーランド氏や平鍋氏、一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏らが登壇する半日セミナーを無料で行う。「経営者の意識改革を促すのが狙い」(平鍋氏)という。