総務省は地方公共団体を対象に提案を公募した「災害情報伝達手段等の高度化事業」について、実証事業実施団体を選定した。選定団体は2017年1月5日に公表した。

 この事業は、「高齢者などの住民が適切な避難行動などをとることができるような情報伝達手段といった提案型モデル事業を実施し、優良事例の事業成果を全国の地方公共団体に普及させること」を目的に実施する。内容は、市区町村を対象にした「戸別受信機などの情報伝達手段に係る実証事業」と、都道府県を対象にした「防災情報システムに係る実証事業」からなる。

 「戸別受信機などの情報伝達手段に係る実証事業」では、茨城県常総市、三重県御浜町、兵庫県加古川市、愛媛県宇和島市、愛媛県新居浜市、熊本県菊池市が実施団体として選定された。

 常総市は、防災行政無線の戸別受信機とテレビ、テロップ表示盤などを連動させて分かりやすく表示する機能拡充などを行う。また、防災情報のプッシュ通知(多言語対応)などを行うスマートフォンアプリの整備を実施する。

 御浜町は、地域BWAを活用し、タブレット端末への戸別情報配信システムの整備を行う。

 加古川市は、土砂災害の恐れのある地域の住民や高齢者などに対し適切な避難行動などを促すために、V-Lowマルチメディア放送を活用し、映像・音声・文字など多様な内容を伝達できるV-Lowラジオ、屋外スピーカーなどの整備を行う。

 宇和島市は、聴覚障がい者などの情報弱者に対し確実に防災情報を伝達するために、携帯電話網を活用したテレビを自動起動させるシステムを整備する。

 新居浜市は、(1)コミュニティFM設備、(2)地域BWAを活用した屋外放送システム、高画質河川・潮位監視カメラなど、(3)携帯電話やスマートフォンを利用した防災情報の伝達・安否確認システムの整備を行う。

 菊池市は、高齢者、障がい者、外国人、観光客など各特性(情報リテラシー、役割など)に合わせて分かりやすく防災情報を伝達するために、携帯電話網を活用した情報伝達システムやスマートフォンアプリの開発を行う。

 防災情報システムの実証事業では、愛知県が実施団体として選定された。市町村の災害対応業務の効率化や避難勧告などの迅速な意思決定を支援するため、住民広報や被害情報管理、避難者対応などの市町村の災害対応業務を支援する防災情報システムを構築する。

 総務省は実証事業実施団体とともに、提案内容に基づき情報伝達手段あるいは防災情報システムの整備と検証を実施する。結果をもとに、優良事例などの事業成果を全国の自治体に普及させるためのガイドラインを作成する予定だ。

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