ディー・エヌ・エー(DeNA)は2017年1月6日、ロボット技術ベンチャーのZMPと結んでいた自動運転に関わる業務提携を解消する方針で合意したと発表した。共同出資会社ロボットタクシーで進めていた同事業の行方やブランドの取り扱いなどの詳細は、今後協議して決める。DeNAは同日、日産自動車と自動運転車両を使った新たな交通サービスを開発することも発表。同社の自動運転関連事業を大幅に見直す。

 DeNAとZMPは2015年5月にロボットタクシーを設立。ZMPの自動運転技術とDeNAのネットサービス開発ノウハウを組み合わせて、2020年をメドに無人運転によるタクシーサービスを開発するとしていた。

 提携解消の理由についてDeNAは「共同出資会社であるロボットタクシーの経営方針や運営方針の違い」と説明した。同社を設立して以降の2年近く、技術開発や実証実験を重ねる中で「事業化に向けたロードマップや事業の規模感、両社が目指す理想像などいろいろなズレが生じた」(同)。

 ZMPの谷口恒社長も本誌の取材に対して「経営方針の違い。現時点では詳細は話せない」とした。

 関係者の話を総合すると、様々な企業と組んで自動運転に関するITサービスを広く手掛けていきたいと考えるDeNAと、自動運転技術を愚直に追求したいZMPとで、意見の食い違いがあったようだ。

 DeNAはZMPとのほかにも、ヤマト運輸と組んで自動運転やGPS追跡、経路最適化などの技術を活用した次世代物流サービスの開発プロジェクト「ロボネコヤマト」を推進。フランス企業と共同で、私有地を使った無人運転バス「ロボットシャトル」の開発にも取り組んでいる。

 DeNAはこれらの取り組みの中で、配車や荷物配送といった利用者向けスマートフォンアプリなどの開発を担っている。ゲームやネットサービス開発のノウハウを活用し、「幅広い企業と組んで交通サービスのプロバイダーになることを目指す」のが同社の方針だ。

 一方のZMPは10年来、自動運転技術の開発に取り組んできた。目指す理想の一つが、高齢者や過疎地の居住者への移動サービスの実現。谷口社長はかつて本誌に、「日本を訪れた外国人を、ロボットタクシーが『おもてなし』する。ロボットに強いという日本ならではのブランドを生かした価値を提供したい」と語っていた(関連記事)。