アビームコンサルティングは2017年1月5日、製造業を対象に、生産現場や製品へのIoT(Internet of Things)導入を支援するサービス群「IoT Data-Driven Manufacturing Solution」の提供を始めると発表した。

 新サービス群は、「IoT導入検証トライアルサービス」「IoTデータ分析・機械学習活用プラットフォーム構築支援サービス」「IoT活用プロセス内製化推進サービス」の3つからなる。

アビームコンサルティングが提供を開始する「IoT Data-Driven Manufacturing Solution」の説明資料
アビームコンサルティングが提供を開始する「IoT Data-Driven Manufacturing Solution」の説明資料
資料提供:アビームコンサルティング
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 「IoT導入検証トライアルサービス」は30日間、生産現場や製品にIoTの仕組みを組み込んで、生産状況の見える化や、製品の異常検知、生産現場で稼働する機器の故障予測などができるかどうかを検証するPoC(Proof Of Concept、概念実証)を支援するサービスだ。

 このサービスではデジタル化に関する研修や、顧客企業が持つデータや業務課題を踏まえてIoT化のテーマを決めるワークショップも行う。その後のテーマを具体化するプロセスでは、検証結果をすぐに得られるよう、アビームがクラウド上に整備しているIoTの基盤システムや、データ分析用のソフトウエアライブラリ群、分析モデルなどが利用できるようにする。

 第2の「IoTデータ分析・機械学習活用プラットフォーム構築支援サービス」は、顧客企業が蓄積しているIoTデータを使ってより高度な分析ができる仕組み作りを支援するサービスだ。

 このサービスでは、人工知能(AI)を組み込んだ、アビーム提供の多次元データ解析ツール「HyperCube」や機械学習の手法を使って、IoTデータを分析。それまでの取り組みでは気づかなかった異常の検知や、新たな製品不具合要因の特定など、新しい知見を導き出せるようにして、現場改善などにつなげられるようにする。統計手法や数理モデル、分析対象となる生産設備などに詳しいアビームのコンサルタントがチームを組んで、顧客企業を支援していく。

 最後の「IoT活用プロセス内製化推進サービス」は、顧客企業がIoTに関する取り組みを、社内の人的リソースだけで推進できる体制づくりを支援する。アビームは「IoT化は進めたい。しかし、IoTデータは機密性が高いので、データ分析を外部に任せたくない」と考える製造業が多いことを市場調査などで把握。「IoT内製化」のニーズが高いとみて、このサービスを提供する。

 このサービスでは、IoTデータの収集や分析、分析結果を踏まえた業務改善と効果測定といった一連のプロジェクトを立ち上げて支援していきながら、IoTの活用で必要な社内スキルの見極めなども実施。顧客企業が継続してIoTを活用していける体制作りを支えていく。

 料金は各サービスで取り組み内容に応じて変わるが、標準的な内容のIoT導入トライアルサービスの場合で450万円。アビームは、PoCプロジェクトを立ち上げるなどIoTの導入に前向きな製造業が多い半面、IoTの具体的な施策が見えないなど課題を抱えているケースも少なくないとみて、サービスの提供に踏み切った。2017年度中に10社に導入することを目指す。