トヨタ自動車と米フォード・モーターは2017年1月4日、車載端末からスマートフォンのアプリを安全に操作する技術の標準化組織「スマートデバイスリンク コンソーシアム」を設立した。オープンソースで開発を進めて自動車業界共通の仕様とすることで、車載ソフトの開発を容易にする狙いがある。

 同コンソーシアムには現時点で、フォードとトヨタに加え、富士重工業やマツダ、スズキ、フランスPSAグループなどの自動車メーカーや、パナソニックや独コンチネンタル傘下のエレクトロビット、スイスLuxoft、米Xevo(ジーボ)などのサプライヤーなど計13社が参画する。

トヨタ自動車や米フォード・モーターが標準化を目指す「スマートデバイスリンク(SDL)」のロゴ
トヨタ自動車や米フォード・モーターが標準化を目指す「スマートデバイスリンク(SDL)」のロゴ
(出所:米フォード・モーター)
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 「スマートデバイスリンク(SDL)」は、車載器とスマートフォンを連携させる技術。スマホ内にある地図や音楽、メールといったアプリを、自動車の音声認識機能やカーナビ画面、ハンドルボタンから操作できるようにする。運転中に直接スマホを操作しなくても、アプリを利用できるので、安全性を保ったまま手軽にコネクテッドサービスを実現できる。

 トヨタは2018年にもSDLを用いた車載システムを商用化する予定だ。フォード・モーターが2013年にスマホ連携システムである「アップリンク(AppLink)」システムでSDLを採用して以来、現在では世界で500万台以上の車両で利用できる。

 車載端末のスマホ連携では、車載側のソフトウエアを安全かつ短い期間で開発することが必要になる。アプリが車両の走行データへアクセスする際の管理機能など、セキュリティの面でも課題が多い。それぞれのメーカーが異なるソフトを開発するより、業界全体で共通のプラットフォームを設定すればソフトウエアの品質担保や開発の迅速化・効率化が期待できる。サードパーティーの参画も促せる見込みだ。

 スマホ連携に向けた取り組みでは、他にも米アップルの「Carplay」や米グーグルの「Android Auto」などがある。トヨタは「スマホ連携では一つの選択肢に限らず、あらゆる可能性を探る」(広報部)としているが、今回の発表では具体的に商用化時期を示すなど、より進んだ取り組みとなる。