米グーグルの親会社アルファベット傘下の英ディープマインド(DeepMind)は現地時間2017年1月4日、2016年末~2017年初にかけてオンライン囲碁サービスでプロ棋士相手に連勝していた謎のアカウントが、同社の囲碁AI「AlphaGo」の新しい試作バージョンであることを明らかにした。試作版が期待通りの実力を発揮するかを、非公式テストとしてオンライン対戦で検証していたという。

図●ディープマインドによる声明
図●ディープマインドによる声明
(出所:英ディープマインド)
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 AlphaGoは、2016年3月に韓国のトップ棋士であるイ・セドル氏と対戦して以来、オープンな場での対戦を実施していなかった。日本のプロ棋士である趙治勲名誉名人からの対戦依頼も断っていた。

 ディープマインドのデミス・ハサビスCEO(最高経営責任者)がツイッター上で公開した声明によれば、新版AlphaGoは「Master」と「Magister」のアカウント名で、オンライン囲碁サービスであるTygem(東洋囲碁)とFoxGo(野狐囲碁)のサーバー上で対戦していた。野狐囲碁の日本公式アカウントによれば、Masterは登場以来、トップ棋士との対戦を含めて60連勝しているという。

 ディープマインドの声明によれば、非公式テストは終了し、2017年後半にはプロ棋士の団体などと協力して公式戦を実施する考え。対戦の目的について「(人とAIが)相互に啓発しあうことで、囲碁というゲームの深遠な謎を探求したい」(同)としている。