米Appleは、ソフトバンクが1000億ドル(約10兆円)調達を目指して立ち上げた基金「SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)」に10億ドルを出資する計画であることを認めたと、複数の米メディア(BloombergAppleInsiderなど)が報じた。

 Appleの同ファンドへの関心は昨年12月半ばより噂されていたが、Apple広報担当のKristin Huguet氏は現地時間2017年1月4日、Wall Street Journal(閲覧には有料登録が必要)やTechCrunch宛てのコメントで「我々は同ファンドが技術開発を加速させると確信している。それはAppleにとって戦略的に重要なものになるだろう」と述べたという。

 同ファンドは、ソフトバンクが2016年10月に設立計画を発表。AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)を含むテクノロジー分野への大規模な投資を目的としている。ソフトバンクは向こう5年間で250億ドルを投じ、サウジアラビアの政府系ファンドPublic Investment Fund(PIF)は最大450億ドルを出資することを検討しているという。

 そのほか、台湾Hon Hai Precision Industry(鴻海精密工業)傘下の中国Foxconn Technology(富士康科技)、米OracleのLarry Ellison会長、米Qualcomm、カタールの政府系ファンドQatar Investment Authority(QIA)なども協議中と報じられている。

 Appleがベンチャーキャピタルファンドに出資するのは極めて珍しいが、同ファンドへの参加は、新技術を自社デバイスに組み込むことや、「iPhone」とコネクテッドデバイスの連係を考えている同社にとって役に立つと、Wall Street Journalは分析している。

 また米Endpoint Technologies Associatesのアナリストは、Appleが最近、特にアジアでの他社とのパートナーシップに目を向けていることを指摘。Appleは昨年、中国の配車サービスDidi Chuxing(滴滴出行)に10億ドルを出資している(関連記事:Apple、中国配車サービス大手に10億ドルを出資)。