LINEは2016年12月28日、同社が運営するキュレーションサイト「NAVERまとめ」について、権利侵害の可能性があるコンテンツを迅速に非表示にするなどの対策を公表した(「NAVERまとめ」に関する昨今の報道を受けての当社見解について)。他人の著作物の盗用による著作権侵害への対策が不十分との批判に応えたもの。

NAVERまとめのWebサイト
NAVERまとめのWebサイト
(出所:LINE)
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 LINEはこれまで、権利者からの著作権侵害の申告について、プロバイダ責任制限法とそのガイドラインに準じ、事後対応の形で非公開化などの対処をしてきた。

 プロバイダ責任制限法は、サービスの利用者が発信した情報によって生じた権利侵害について、情報を仲介したサービス企業(プロバイダー)が負う賠償責任などを一定の条件のもとで免除するもの。だが、同法に基づく申告手続きは、権利者であることの立証などに大きな手間がかかることから、「LINEの方針では実効的には権利侵害を防げない」との批判があった。

 今回LINEは、新たに二つの対策を導入した。一つは「みなし非表示対応」。2016年12月8日以降に著作権侵害の申告があった「まとめコンテンツ」については、侵害の可能性ありとみなし、先に非表示処理を行う。その後、権利侵害がないと判断された場合のみ、表示を再開する。これまでは、権利侵害ありと判断されるまで、コンテンツは公開されたままだった。

 もう一つは、情報開示請求の運用改善である。権利者が、賠償請求のため発信者の情報を開示するようLINEに請求した場合、請求に正当性があり、侵害の事実が明らかであれば、2016年12月20日以降は発信者の同意なしで情報を開示するようにした。

プロバイダーか、メディアか

 NAVERまとめは、同じテーマについて複数のサイトの情報を引用したまとめコンテンツの投稿を受け付ける「キュレーションサイト」を銘打つ。

 その一方で、まとめ作成者向けに、PV(ページビュー)や滞在時間、NAVERまとめ運営が考えるコンテンツの質などを加味したインセンティブ制度を設け、金銭を支払っている。事業モデルとしては、プロバイダ責任制限法が元々想定していたインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)や掲示板運営、ブログサービス事業よりも、ニュースサイトなどのメディア事業に近いといえる。発信の主体がサイト運営者にある場合は、同法に基づく責任免除は無効になる。

 同社はこの点に関する本誌の取材に「『NAVERまとめ』はコンテンツの内容や構成などの一切の決定を一般ユーザーが行う“ユーザー参加型モデル”であり、ライターへの執筆依頼や、投稿されるまとめの事前審査・確認は実施していない」(LINE広報部)とコメントした。内部マニュアルに基づきライターに投稿を依頼し、事実上のメディア事業としてキュレーションサイトを運営していたDeNAのWELQ問題との違いを強調した。